No.128

自分が率先して役に立てることの喜び

アヤカ店長

(神戸大学大学院医学研究科博士課程(後期)医科学専攻2年)

Presented by Shiguma Inoue, Kana Maruyama

Photo by Shoichiro Sakamoto


『理系学生と地域の人々との交流の場を設けよう』そんな理念のもとに立ち上がった"理系バー"を運営しているのは、医学研究科博士課程のリケジョ、アヤカ店長。なぜ彼女は医学の道へ進み、バーを立ち上げたのか。

PROFILE

アヤカ店長

元々は「落ちこぼれ文系女子」だった

-自己紹介をお願いします。


神戸大学大学院医学研究科博士課程医科学専攻2年のアヤカと申します。2017年11月にシェアキッチン※型のバー「理系Barbms」を神戸元町の地で始めて、今はそこの店長をしております。
※シェアキッチン...空き店舗を複数名で間借りして、設備はそのままに色んな形態の(飲食系の)お店をすること。コミュニティスペースとしての役割も果たす。

-文系から理転して医学の道に進んだとお聞きしました。どういう経緯で今の道に至ったのですか?


そうなんです(笑)。高校時代はずっと文系のクラスにいたんですが、そのときは成績もあまり良くなくていわゆる「落ちこぼれ文系女子」だったんですよ。あまりにも勉強していなかったのでこのままだと大学に行けないなと思い、そこから受験を意識して唯一自分の得意科目だった理科だけでも頑張ろうと思って必死に勉強し始めたんです。そうすると相性が良かったのか成績がば一って伸びて(笑)。その結果、大学進学の面談で担任の先生に私立の薬学部を勧められたんです。それが理転のきっかけですね。薬学部でしっかり基礎薬学を学び、今に至ります。

-医学部博士課程に進学したきっかけを教えて下さい。


昔からがんに興味があってがんにまつわる問題を真剣に考えた結果、薬学部に入ってそこから医学の道に進むことを決めました。日本の死因1位で沢山の人ががんで亡くなっていく現状をテレビなどのメディアで耳にする度に、自分の中でがんをなくしたいという想いが日に日に募っていったんです。そして薬学部で抗がん剤の研究をしていつかがんを人類が克服できればいいなと思い、がんの研究者になるために薬学の道に進みました。より臨床に近い薬学研究がしたかったので、博士課程の進学も見据えて神戸大学大学院医学研究科(修士課程)に進学しました。入ったばかりの頃は実験のいろはを覚えるだけで手一杯だったのですが、研究者になりたいという強い思いで必死に実験しました。そうした努力や他の人の協力、サポートのおかげもあって、神戸大学の飛び級制度を利用し通常2年間で行う修士課程を1年で終わらせることが出来ました。

-理系barを始めたきっかけはなんですか?


神戸に来てまだ間もない頃、同期の研究室の教授に提案されたのがきっかけです。「理系学生はどうしても研究室に籠もりきりになってしまい、学内・ラボ内といった偏ったコミュニティー内で学生生活の大半を過ごしてしまう。それではあまりにも残念なので自分たちでお店を営むという経験を通して、地域の入々と交流し社会勉強をしてみるのはどうか」と教授に月類課金制のシェアキッチン『ヒトトバ』を紹介していただきました。シェアキッチンを利用することで、家賃を抑えることができるだけでなく、冷蔵庫や冷凍庫などの設備や調理器具や食器なども備え付けで必要な初期投資が最低限で済んだため、学生でも挑戦することができました。
また、元町商店街は夜になると店がほとんど閉まってシャッター街みたいに開散としており、空き店舗も少なくありません。ここも完々空き店舗だったのですがヒトトバのオーナーさんの取り組みでシェアキッチンとして生まれ変わりました。学生が利用することで地域に活気を与えることができるのではないかといった教授の意図もあったのかもしれません。私たちも少しでも地域が盛り上がればいいなと思って2017年11月から営業しています。


黒木麻由

(セブンイレブン鶴甲第1キャンパス店店長)

限られた休み時間に "いい気分" を。


内藤賢一

(神大モダン・ドンチキ メンバー)

未知のものでも、飛び込んでみたら楽しい


鈴木大策

(文学部2回生)

再出発は、いつでもできる。


アヤカ店長

(神戸大学大学院医学研究科博士課程(後期)医科学専攻2年)

自分が率先して役に立てることの喜び


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