ヒーローズ代表、番匠谷拓実。社会をよくする活動をしているNPOがお金に困っている現状に憤りを覚え、自らが立ち上がって社会を変えようとしている。そんな彼の原点、思考に迫ります。
PROFILE
番匠谷拓実
社会をよくするヒーローが、お金に困らないように
-まずは、ヒーローズの活動について教えてください。
ヒーローズでは、NPOをサポートするNPOとして、主にNPOの資金調達に関する活動をしています。具体的には資金調達のノウハウの共有や実際の支援、団体同士が互いに情報共有できるコミュニティを運営していて、まだまだ始まったばかりですが、少しずつ軌道に乗ってきたかなというところです。
-活動していて嬉しかったことはなんですか?
これまで実際に活動としてできているのはコミュニティ運営だけなのですが、そこで「ヒーローズがあるからもう一回頑張ろうと思えた。」と言ってもらえたときにはすごく嬉しかったです、その時僕たちは、NPOの方々の資金調達に関して十分にサポートができておらず、申し訳なく思っている時期だったということもあり、自分たちの提供している価値が他にもあったのか、と救われたと同時に新たな観点が得られて嬉しかったです。他には、あるNPOの方がカンボジアで管理栄養士を募りたいのだけれどどうしたらよいか、という質問をコミュニティ内で投げかけていた際に、いろんな団体の方が意見をくださって、実際に解決まで進んだときはとても嬉しかったです。
-では逆に、辛かったことはありますか?
たくさんありますね(笑)。例えば、今からはやっと「こういうことをやっています」って成果で語れるようになってくると思うのですが、これまでは「こういうことをやりたい」って言う口だけのやつだったんですよね。誰でも最初はそうだと思うんですけど、実績が出ていないのに理想だけ語っている自分が恥ずかしかったり、それなのに変に評価されると理想と現実のギャップでしんどくなったりして辛いです。あとは、”NPOをサポートするNPO”、という活動に興味を持ってもらえなかったり、目指したい方向が違っていたりするために仲間が増えなかったり辞めてしまったりする。そのたびに一人になるのはとても辛いですね。
-活動を始めたきっかけはなんですか?
"僕は大学に入ってから、アイセックで精力的に活動していました。アイセックの活動は当然無償だし、また活動に時間をかけていたので、バイトに入る時間が減って、めちゃめちゃお金に困っていたんです。当時はクレジットカードで買い物をして、月末に入るバイト代でカードの支払いをする、みたいなギリギリの生活をしていました。だから月末に一瞬カード止められるんですよ(笑)。そんな生活が続いていて、すごくお金に困っていたんですけれど、僕は金銭を自分で管理するという条件で一人暮らしをさせてもらっていたので親にも頼れないし、人からお金を借りるのは嫌だし、当時は「本当に誰にも頼ることができないな」と感じていました。結果的には姉に助けてもらってなんとかなったんですけれど、その時にお金がないってこんなに苦しいんだなと感じました。友だちからの誘いも断らないといけないし、なにより明日どうやって過ごせばいいかもわからない。もちろんそうなったのは僕の性格やバイトをしなかったことが原因だし、他の人と比べるようなことじゃないとも思うんですけれど、「僕はバイトをしている人よりも長い時間活動しているし、活動も少なくとも価値を生み出しているのに一銭にもならないなんて、こんなのおかしくないか。」と思ったんですよね。 そんな中、障害のあるお子さんの子育てを支援しているNPOの方とお話しする機会がありました。その人たちは、見ず知らずのお子さんや親御さんのための活動を一生懸命にされていたんですけれど、金銭的に非常に苦しい生活をされていたみたいなんです。というのもNPOの活動では、サービスを受ける側の方が経済的に苦しいためにNPOに対価を支払えないケースが非常に多いんです。誰かのために一生懸命活動している人がお金に困っている、その人たちの活動が正当に評価されていない、そんな状況に凄く違和感を覚えました。そうしたNPOがお金に困らないように、また正当な評価を受けられるようにしたいと思ったのがヒーローズを立ち上げたきっかけです。 ※アイセック…海外インターンシップのプログラム作成から運営まで行い、海外インターン参加者が社会を変えるリーダーになるためのサポートをしている団体。 "