No.109

ここでしか過ごせない、自分だけの時間をたいせつに。

河野清香

(喫茶月森 店主)

Presented by Honoka Kuwahara Ayano Yasuda

Photo by Moe Kutsumi


静かな音楽が流れる店内に漂うバターの香り。じっくり焼き上げられたシンプルなホットケーキはまさに月森の代名詞。六甲で他にはない個性を放つ月森を営む店主さんに、喫茶店に対する熱い愛情を語っていただきました。

PROFILE

河野清香

皆が居心地よく過ごせるように

-月森はいつごろ開かれたんですか?


2006年の11月末から始めたので、今年で12年目になります。昔から喫茶店が好きで、毎日を楽しく過ごすために、私にとって”喫茶店で過ごす時間”はなくてはならないものだったんです。いつしか自分が行くだけではなく、迎える側になってお店ができたらいいなあと思いお店を開きました。大学に入る頃からいつかお店を開きたいとは思っていたんですけど、その時はまだ迷っていて、大学の4年間で将来どうするのか考えようと思っていました。でも大学に入るとやっぱり喫茶店をやりたいなあという思いが強くなって、もう早い時期に進路を決めました(笑)。大学を卒業した後は、喫茶店を開くにはまずスキルを身につけないといけないと思ったので飲食のお店でアルバイトをしました。お茶を淹れたりケーキを作ったりする仕事をなるべく一人でやらせてもらえるお店で何年か働いてから、月森を開きました。

-始めるとき周りの人に何か言われましたか?


言われましたよ~。反対の声がそれはまあ多かったですね(笑)。でも、やって失敗したんだったら仕方ないけれど、やらないで諦めて後で後悔するのはもったないなと思ったので始めました。

-どうして六甲にお店を開かれたんですか?


六甲で育ったわけではないんですけど、六甲の町の雰囲気が好きだったんです。緑が多いし、下町過ぎず都会過ぎず。喫茶店をやるなら街中でやるよりも地域に根差した場所がいいなと思っていたので、ちょうどいい雰囲気だなと思って六甲を選びました。

-お店の雰囲気のこだわりはありますか?


うーん、こだわり過ぎないようにとは思っているんですけど、私が喫茶店で「自分だけの時間」を過ごすことができたように、それぞれのお客さんがそれぞれの時間を過ごすことができるようには心がけています。小さいお店なので、ある程度はお互い許容する部分があってしかるべきだと思いますが、誰かのおしゃべりで違う人の時間が邪魔されたりすることがなるべくないように、皆が居心地よく過ごせるようにする、というのが一番こだわっていることですね。なので、お店の音楽も聴き流せる程度のものにしたり、他のお客さんの時間を邪魔しているんじゃないかと思ったらお声がけさせてもらったりしています。でも、基本的にはお客さんの好きなように過ごしていただけたらいいなあと思います。勉強したりお仕事したりする方もたくさんいらっしゃいますよ。

-そうなんですね!月森といえば”懐かしさのあるシンプルなホットケーキ”というイメージなのですが、どうしてホットケーキをで出すことにされたのですか?


ずっと1人でお店をするつもりだったので、1人でも無理なく焼き続けられるもので、私の中でしっくりくるものってなんだろうって考えて、ホットケーキにしようって決めました。私の中でホットケーキといえば、”厚みがあって、バターとメープルシロップだけが乗ったシンプルなもの”っていうイメージだったので、このホットケーキになったんです。

-月森のホットケーキは出てくるまでに1時間以上かかるとお聞きしました。


ホットケーキは、少し前まで本当に一から作っていて、注文をいただいてからお出しするまでに、長いときには3時間、それ以上かかることもありました。でも、やっぱりそこまでお待たせしてしまうのはちょっとどうなんだろうと思って、なるべく1~2時間で作れるように最近少し工夫を始めたんです。それでもあらかじめ準備できないこともあるし、どうしても一気にたくさんは焼けないので時間はかかってしまいますが、だからこそお客さんがゆっくりできて、居たいだけ居られる場所になったらいいなあと思っています。

-そうなんですね。月森は珈琲も紅茶も、両方美味しいですよね。


喫茶店といえばコーヒーですが、私はコーヒーだけじゃなくて紅茶も好きなんです。全然違うけどそれぞれに良さがありますよね。例えば、紅茶はたっぷりがぶがぶ飲みたいけど、コーヒーはホッと一息つきたい時に少しだけ飲めば満足できる、みたいに自分の中で位置づけがあるんです。コーヒーを売りにしている喫茶店は紅茶をないがしろにしてしまうことが結構ありますが、どれを頼んでもおいしいって思えるものを出せたらいいなって思っています。これはコーヒーもそうだし、他のものにも言えますね。

-お店に本がたくさん置いてありますが、なにか狙いがあるんですか?


私にとって、本は大事な友達で身近なものなのでお店の中に本があることは自然なことなんです。ここに置いてある本は私のおすすめばかりなので、無理に勧めたりはしないけど、どれもとっても自信のある本なので、気になるものがあれば手に取っていただけたらいいなあと思います。本ってすごく面白いけど出会う機会ってなかなかないと思うんですよね。


とに

("ラーメン荘 歴史を刻め 六甲道"店主)

腹減ったら食べにおいで


遠藤 龍

(WARLD LOG所属)

「対話」で未来を作る


永岡 誠

(工学部3回生)

自分の直感に素直に、今を全力でやってみる。


奥野亜衣

(バレエダンサーを目指す、現役大学生)

全力で向き合い、全力でぶつかって、全部自分の糧にする


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