No.97

再出発は、いつでもできる。

鈴木大策

(文学部2回生)

Presented by Ayano Yasuda, Yuma Taketa

Photo by Koki Yoshida


「大学に入ってから、自分のこれまでのことは10人くらいにしか教えていません。」あえて自らの経歴を隠してきたと言う鈴木さん。高校卒業から神大入学までの、10年あまりの彼の知られざる過去に迫る。

PROFILE

鈴木大策

思うようにいかない苦しみ

-鈴木さんは東大にいらっしゃったとお聞きしたのですが...?


はい、そうです。先に言っておくと僕は今32歳で、2004年に高校を卒業して東京大学に入りました。でも結果的に東大は中退してしまったんです。その原因はいろいろあるのですが、東大法学部の法律相談所の新歓に行ったことが1番大きなきっかけですね。その新歓には「自分が日本の未来を背負って立つんだ!」っていうやる気満々の人たちがいっぱいいたんです。当時僕は留年して進学した三年生だったのですが、そこまで何も考えてこなかった自分が彼らと出会ったときに、「ああ、だめだ。この人たちには勝てないな。」って思ってしまったんです。もう何をやっても、うまくいく像が見えなくなってしまったんです。

-東大生ってみんな意識が高いイメージがあるのですが...。


僕自身は高い意識を持って東大に進学したわけではないんです。大学を決めるときになかなか決められなくて、とりあえず東大を志望校にしていたら勢いで受かっちゃったんですよね(笑)今思うと、当時の自分は東大生になって何かするということよりも、東大に入るということが目標になってしまっていて、大学に入った後のことをちゃんと考えていませんでした。合格に周りも喜んでくれて東京で大学生活を始めましたが、そこで次の目標をもつことができず、次第に東大生というステータスを守ることに必死になってしまったんです。でもそれは間違っていて、本当はその「東大生である」というステータスを基にして、また次の何かに踏み出すべきでした。当時の自分はそのことがよく分かっていなかったと思います。だから新歓の時に、形だけ取り繕っている自分と、自分の中に信念がある人との差を痛感して、「だめだな。」と思ったのと同時に、心の底で「ここには馴染めない、自分がいる場所じゃない。」と感じて、そこから不登校になってしまったんです。

-不登校になっても大学を辞めなかったのはなぜですか?


見栄っ張りだったんでしょうね。いつの間にか、東大生であることが自分のアイデンティティと結びついてしまっていて、それにしがみついていたかったんだと思います。それと、他人に対して「できる自分」でありたいっていう思いもあったかもしれません。不登校の間はなかなかしんどい期間でした。このままではやばいとは焦っているのに何もできなくて、でも誰にも助けを求められない状態がずっと続きました。そうしているうちに大学を卒業できるかが怪しくなってきて、1年休学を挟んでみたのですがあまり上手くいかず、大学を卒業するのがほぼ無理になってしまった時に、知り合いの紹介で地元に近い神戸で働きだしました。でもそれも1人で抱え込んでしまう性格が原因で長続きしませんでした。大学も中退して、2013年から2015年の2年間は本当に精神的にキツい時期でした。今振り返るとやっては転び、やっては転びの人生ですね。


YOHEI

(神大文学部卒のDJ)

趣味を持つと社会人は楽しい


吉原 史郎

(経営学部卒コンサルタント)

自分がこの仕事をするために生まれてきたという感覚があります。


田中光

(カフェ運営を行う現役大学生)

お客さんそれぞれにとって、ほっこりできるカフェでありたい


柄須賀皇司/松嶋航大/加賀屋航平

(神大生を含む3人組ロックバンド the paddles)

自分たちのような若い世代に言葉を投げかけたい。


一覧へ戻る