No.62

一番面白いことするのは学生のはずなのに

岩渕想太

(現役神大生バンド“パノラマパナマタウン”Vo&Gt)

Presented by Syunsuke Ueyama

Photo by Hiroko Onishi


2015年8月1日、国営ひたち海浜公園。日本最大級の夏の邦楽ロックフェス、ROCK IN JAPAN FESTIVALが開催された。錚々たるアーティストが名を連ねる中、四日間にも渡るこの「お祭り」の幕開けを飾る現役神大生バンドがいた。“パノラマパナマタウン”である。
神戸大学軽音楽部ROCKの同回生4人で結成された彼ら。自身のプロフィールで自らを「都市型オフェンシブライムビート集団」と称しているが、その肩書きに違わず、まくしたてるような攻撃的なフローのラップが特徴のオルタナティブロックバンドだ。今回の情熱取材は、このバンドのギターボーカルと全作詞作曲を手がけるフロントマン、文学部三回生の岩渕想太さん。彼、そしてバンド“パノラマパナマタウン”が今まで歩んできた道とは、一体どんなものなのだろうか。

PROFILE

岩渕想太

とにかく学生を切り離す

-いつ、どんなきっかけで音楽を始められたのですか?


高校一年生の時、ギターを買ったのが始まりですね。中学の頃から音楽はめっちゃ好きで。両親が音楽好きなので、CDを借りて色々な音楽をいっぱい聴いたり、ライブにもよく行ったりしていました。高校生になってギター部に入りたかったんですけど…僕、人見知りだから怖くて入れなくって。自分でギター買ってやるしかなくなっちゃったんです。それも教則本買ってちゃんと練習する、とかではなかったですね。
とにかく曲を作りたいと思っていたので、高二から遊びで曲を作り始めてネタ曲を友達に聞かせていました。それから受験もあって一旦ギターを弾かなくなったんですけど、高三でラップにハマって。メトロノームの刻みにラップ乗せる、みたいなことをずっとやってましたね。学校の先生をdisるラップ作って、クラスのLINEに送ったりして(笑)そういうのが面白かったですね。

-パノラマパナマタウン結成から、現在までの経緯を教えてください。


結成したのは、大学一回生の秋から冬にかけてです。ドラムの田村…あ、あのサンボマスターのボーカルみたいなやつです(笑)そいつが「オリジナルをやりたい」っていってメンバーを集めて、僕自身その時は「とりあえずやってみるか」くらいの気持ちでゆるく始まりました。ただ、「やるなら新しい音楽を作っていかないと。今ある音楽をやっても俺たちがいる意味はない。」っていう想いはその頃からずっとありましたね。
パノラマパナマタウンとして初めてのライブは、2014年の3月でした。それからライブを重ねて、ツアーを組んだりCDを出したりもしたんですけど…全国にいくらでもある学生バンドから抜けきれてない感じがずっとしていましたね。これは、僕が嫌いな業界の一面でもあるんですけど。

-「嫌いな業界の一面」、というと?


今って、音楽業界に限らず映画でも美術でも、学生っていうフィルターがかかったらもう学生としか見られなくて、それ以上の高みにいけない風潮があると思うんです。僕はそれがすごく嫌いで。一番面白いことするのは学生のはずなのに、って。「学生なのにすごい」っていうよくあるセリフは結局頭打ちで、「学生からは何も生まれない」っていう前提ありきなんですよね。学生は元々ハードルが低い。そのハードルを超えるだけじゃなくて、大人と同じ土俵で戦って勝つことが大事だし、僕らにはそれができると思ったんです。だから初ライブ以降、プロフィールにも学生バンドっていうのは一切出さずに、衣装も学生っぽくないものを選んだりして。とにかく「学生を切り離そう」っていうことだけを考えていました。
そういう時期がしばらく続いたんですけど、12月頃に神戸の「太陽と虎」っていうライブハウスに自分たちの音源を持って行ったんです。そしたら、そこの店長さんがすごく気に入ってくれて、「お前ら絶対売れるから、一回タダでいいからうちでライブしろ」って。その店長さんはお金のことを考えずに自分の良いと思った音楽を大切にする人で、その後もいいライブを回してくれたり、僕らのことをプッシュしてくれました。それが2月頃なんですけど、MASH A&Rっていうオーディションのマンスリーアーティストに選ばれたりとか、その辺りから風向きが変わってきて。やっとただの学生バンドから突き抜けることができたっていう自信が生まれましたね。

-太陽と虎との出会いが、一つの転機だった訳ですね。


そうですね。その後は、3月にCOMIN'KOBEというチャリティーフェスのオーディションで「太陽と虎賞」をもらったり、4月には太陽と虎で自主企画ライブをしたり、割と昇り調子でこられていて。そこからROCK IN JAPAN FESTIVAL(※以下、ロッキン)への出演をかけたRO69 JACKというオーディションに臨みました。大学のスタジオで録った音源を送った一次審査、渋谷で行われたライブ審査、そして一般投票の最終審査を経て、ロッキンに出演できることになりました。優勝を知らせる電話がきた時にメンバー全員ちょうど一緒にいて、みんなでハイタッチしましたね。最終審査の時点で「俺らよりかっこいいバンドはいないな」とは思っていたんですけど、現実に優勝となると本当にびっくりしました。
今はMASH FIGHT!というオーディションで、12月に行われる最終審査まで進んでいます。これでグランプリ獲れたらメジャーも夢じゃないので、頑張りたいですね。


アヤカ店長

(神戸大学大学院医学研究科博士課程(後期)医科学専攻2年)

自分が率先して役に立てることの喜び


知らんやん神戸

(「知らん人鍋」代表)

絶対に知らない人としかやりたくない


村上 加奈

()

お客さんがいて初めて”演劇”は”公演”になる


箱田 貴大

(自由劇場新歓公演脚本)

学生が一つのものを作り上げる時のパワーを感じて欲しい


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