バレーボールサークルMSTと神戸大学KooBeeの創設者。2つの団体の原点と彼が考えるリーダー像とは?「楽しい=楽ではない」と語る彼の“本気”が、チームを作り上げる。
PROFILE
太田 尚樹
リーダーに必要なのは、一番熱い気持ちです
-太田さんは、なぜMSTを作ろうと思われたのですか?
MSTの場合は、偉そうなことを言えば理想とするサークルがなかったんです。小学校はバレーをしていたのですが、中高にバレー部はなく、できませんでした。だから大学に行ったらやろうと思っていて、部活も見に行ったのですが、せっかくの大学生活だしバレー以外にも色んなことにチャレンジしたくて、サークルにしようと思いました。それで既存のサークルを見に行ったんだけど、これはあくまでも僕の主観であって良くない発言かもしれないけど、一生懸命してないなぁと思ったんです。僕はスポーツは全力でやるからこそ楽しいと考えていて、別にうまくなくてもいいと思っています。でも一生懸命にはやりたい。だからそのサークルの考え方はあまり合いそうにありませんでした。けど、バレーサークルはそこしかないし、ここでやろうかなとも思っていたんですよ。でもそのサークルの新歓の帰り道に、たまたま一緒に帰っていた女の子と話していて、彼女も入るかどうか決めきれていないようだったので聞いてみたら、結構思ってることが一緒でした。だから「バレーも一生懸命やりたいけど、他のことにもチャレンジしてみたい。こう思ってる人が僕ら以外にも絶対いるで!」と思って、作ることになったんです。
-なるほど。ではKooBeeの場合は?
KooBeeの場合は、MSTを作ったばかりのころに休み時間などを利用して勧誘のビラをひたすらに貼っていた頃があったんです。当時は2人しかメンバーがいなかったので(笑) 。でも休み時間が明けた頃には別のサークルのビラが一面に上から張りなおされていました。凄い悔しい思いをしました。でも避けて張ってくれていたサークルもあったんです。そこで「別にサークル同士で争う必要はないんやな。皆それぞれ熱い思いがあって勧誘しようとしているわけで、気持ちは同じ。そこでわざわざぶつかり合うなんてもったいないな。」と思ったんです。だからもっと均等に、かつ的確に各々のサークルがアピールできる場を作りたいと思いました。それで同じサークルの皆にメーリスを流しました。「サークル同士がもっと自由にアピールできるフリーペーパーを作りたい。しかもそのフリーペーパーはサークルの情報だけでなくて、新入生がワクワクするようなコンテンツをもっと盛り込みたい。新入生が期待した以上の大学生活を作れるきっかけを作りたい。」そう伝えました。すると本当にありがたいことに、たくさんのメンバーが「自分もやりたい!」と言ってくれたんです。
-2つの団体を創設し、運営していく中で感じたことは何ですか?
リーダーが一番“出来る”必要はないな、と思うようになりました。人の能力は皆それぞれで、誰にでもできないことってもちろんあるものよな!って。チームとして一番いい状態っていうのは個々が自分の強みを自覚しながら、やるべき課題をうまく分担している状態だと思います。僕は、二つの団体で代表をさせてもらって、リーダーの役割っていうのは取り組みに対して一番熱い思いを持ち、その思いをみんなに伝えることが出来ること、そして皆の能力に気付き、活かし、皆が楽しみながら仕事をできる空間を作ることだと思うようになりましたね。だから最近じゃ、自分も出来ないことがあるってのを恥じなくなってきました。もちろん克服したいと思っていることもありますが!(笑) それと、コミュニケーションの大切さはすごい学んだと思います。きっかけは、ある日、後輩が僕の悪口を言っていることを知ってしまったことがあったんですが、それです。あまりにショックで電車の中とかでもめっちゃ泣いて(笑) 、本当に悲しかったです。でもその時にこれだけ悲しんでる自分に気付いて、その後輩のことほんまに愛してるんやなぁって感じました。なんでこんな悪口言われなあかんねん?とか思わずに純粋に悲しかったんです。悲しかったのはほんまに好きやったからで、この後輩たちのために一生懸命頑張ろうって思っていたんですよね。だから、そこで気づいたのは、どんだけ思いがあっても伝わらなかったら意味ないねんなってこと。伝え方って大事やなって思いました。たとえば、後輩が「それはあかんやろ!」ってことをしていても、どうやったら本人が自分自身であかんかったなって反省してくれるんかなって考えるようになりました。もっともっと伝え方にこだわろうと思うようになっていったんです。言い方とか、表情とか、冗談の交え方とか、表現の仕方1つ1つにこだわろうって思うようになりました。