No.148

試行錯誤はワクワク候補

ラムダ技術部

(技術系YouTuber、ソフトウェアエンジニア)

Presented by Haruna Terashita
Asahi Itokawa
Rise Onishi

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KooBee本誌に掲載できなかったインタビューの全貌をWeeBee特別公開!!
日常の一場面を使い、数学や理科を解説するYouTubeチャンネル「ラムダ技術部」を運営しているラムダさんの貴重なお話をお届けします。

PROFILE

ラムダ技術部

ラムダ技術部の始まり。理数のレンズを通して見れば、のりたまも黒電話も教材に。

-動画投稿を始めたきっかけを教えてください。


高専に入学してプログラミングやHP制作など情報系の科目を勉強するうちに、知識をアウトプットしたいと思うようになったのがきっかけです。初投稿の『ワンクリック詐欺を作ろう』(https://www.nicovideo.jp/watch/sm26190387)がニコニコ動画で伸びて、嬉しくてやめられなくなって今に至っています。

-思い入れのある動画はありますか。


『クソダサいスライドを作ろう』(https://youtu.be/hYXFzQvjqnQ?feature=shared)シリーズです。それまではずっとプログラミング系の動画を投稿していたのですが、少し範囲を拡張してみてアプリを使った動画も伸びると気づき、新しい分野に拡張していくきっかけになりましたね。それから大学在学中に投稿した『【注意】フリーwifi盗聴ちょろすぎて草』(https://youtu.be/FnhD7ljtPhY?feature=shared)がこれまでと違う再生回数で収入が増えたことをきっかけに事業としてYouTubeをすることになったので、この動画にも思い入れがあります。

-作るのが大変だったという面で印象に残ってる動画はありますか。


実は作る大変さで言うと、最近の動画の方が結構大きいんですよ。だんだん過酷なことをやってしまうので。ですから直近の動画である『のりたまから海苔を除去しないといけないときに見る動画 / 忙しい朝でも使える!』(https://youtu.be/Bay9-NHiNME?feature=shared)は何十回とのりたまを分別したためかなり時間がかかっているのですが、色々試してうまくいった部分だけを動画にしているので2分30秒くらいの動画になっています。

-X(旧Twitter)で『黒電話からSMSを送らないといけないときに見る動画』(https://youtu.be/x4DU_dA2LAc?feature=shared)の撮影にかなり経費がかかったと書かれていましたよね。


あの動画を作るのもそこそこ大変でした。黒電話を持っている人って滅多にいないので、まず黒電話を探すところから始めました。昔はNTTで契約したら黒電話を貸してもらえたのですが、今はそのようなプランがないので、ハードオフとかで漁って手に入れて繋いでみて、修理して使えるようにしたのが大変でした。あと、初めて電話線を引いたのですが、工事費が3万円ぐらいで意外とお金がかかりました。

-撮影の途中で思ったよりも経費がかかってしまったり、うまくいかなかったりしてボツになった動画はありますか。


ありますね。ただ今はおかげさまでそこそこ儲かるようになったので、他の伸びた動画でその赤字を補填しています。

-のりたまを分離したり、黒電話を使ったりと常人には思いつかないエキセントリックな動画をコンスタントに投稿されていますが、動画制作においてネタ切れしてしまうことはありますか。


「意外とない」とか言うとあまり面白くないですが、 ネタ切れに困ることはあまりないです。ただネタを動画にするのは意外とめんどくさくて、やりたいことはたくさんあってもめんどくさいなと思っていたらいつの間にか動画を出さずに1、2か月経ってしまうことが最近ありがちです。

-めんどくさいという感情を乗り越えて動画投稿に繋げるために工夫していることやマインドセットはありますか。


たくさんの人に見てもらったり、コメントをもらったりするのがモチベーションになっています。YouTubeのコメント欄を見たり、あとはニコニコ動画にもYouTubeと同じ動画を投稿しているので、ニコニコ動画の動画の上に乗って流れるコメントを見ることで視聴者の皆さんがどんなことを考えて見ているのかを見返すことによってやる気を出したりもしています。

-視聴者のコメントで印象に残っていたり嬉しかったりして覚えているものがあれば教えてください。


面白いコメントはいっぱいあるのですが、「そうは思わなかった」とか「この発想はなかった」と言われると、視聴者の期待を裏切ったという達成感があります。逆にそれが期待を裏切らないといけないというプレッシャーになる両面性はありますが。
あとは「動画を見て勉強になりました」とか「楽しかった」とか、そういった率直な感想も嬉しいです。

-動画の題材選びにおいて、ラムダさん自身の関心と視聴者のニーズのどちらを優先させていますか。


動画が伸び始めた初期の頃は、需要のある動画を出そうとアナリティクスの数値を見てどういう動画が伸びているか分析していたのですが、結果としてはあまりうまくいかなかったですね。それよりは僕のやりたい動画を作った方が、結局やる気を出して撮影したり編集したりできるので、結果として面白いものができやすいと気づきました。 最近は僕のやりたいことを優先しがちです。

-数学やプログラミングの知識がない視聴者にも面白いと思ってもらえる動画を作るために、工夫していることはありますか。


僕が伝えたいことは、工学系のことから派生して数学、理科、プログラミングというようにたくさんストックしています。ただ、それをそのまま発信しても見てもらえないと理解しているので、どんな題材と一緒なら伝えられるのかなということを日々探しています。そうして伝えたいものとセットになるものが見つかったときに企画ができて、動画が1本できるという感じです。まず興味、関心を持って見てもらえるような切り口にするということを一番大事にしています。例えば、数学。数学をツールとして使う工学部出身であることもあって、個人的に数学自体がすごく楽しいという感情はあまりないです。生活においていかに日常で数学を活用していくかというところにやりがいや面白みを感じているので、それをみなさんにも伝えたいですね。





YouTuberでありながら企業に勤めるエンジニアでもあるラムダさん。動画投稿とエンジニアの仕事に共通する思いとは。

-エンジニアのお仕事でワクワクする瞬間を教えてください。


エンジニアの仕事でも動画投稿でも、モチベーションの根幹的な部分は結構一緒かなと思っています。元々、多くの人に使ってもらうサービスを作りたいと思って消費者向けのサービスをやっているWeb系の開発部門に就職したので、知り合いや電車に乗っている人が僕の開発したサービスを使っている様子を見たときにやりがいを感じますね。そういうやりがいがワクワクに繋がります。 動画も基本的には同じで、たくさんの人に面白いと思ってもらえたり、勉強になったと感じてもらえたりすると嬉しい。「そうは思わなかった」「この発想はなかった」などと言ってもらえるのも、期待を裏切ったという達成感がありますね。そういう視聴者からのコメントを見てワクワクを感じています。

-動画制作でもエンジニアのお仕事でも、自分の作り出したものが視聴者やサービスの使い手の役に立ったり、喜んでもらったりするのが主な原動力としてラムダさんの中にあるのでしょうか。


そうですね。就活中に面談を重ねて分析してもらったことがあるんですが、おそらく自分は(自分が作ったものを)人に使ってもらうことにモチベーションを感じるタイプなのかなと思います。





高専から大学への編入。YouTubeを始めるきっかけが生まれた高専時代。

-大学に編入する際に電気系から情報系に転向したとのことですが、その時々でご自身の専攻を決めた理由を教えてください。


高専に行こうと決めたのは中学2、3年生ぐらいだったと思います。遡って考えると、小学生の頃に宗教を作ったことがあって(参照 :『学校で宗教を開いて怒られた話』(https://youtu.be/yqx3qMxaeiw?feature=shared))、その宗教を布教するために、父親のお下がりのパソコンでHPを作り始めて、パソコンでものを作るって面白いなと思い始めました。それから祖父が工学部の電気系出身で電気系の雑学を叩き込まれたこともあって理系科目は得意でしたが、文系科目はすごく苦手でやりたくなかったです。高専の第一志望だった電子工学科にたまたま入ることができたので、そこがスタートになると思います。向いていると思って入ったのですが、5年間やってあまり才能がないと気づきました。卒業のタイミングで就職する選択肢もありましたが、僕の専門と胸を張って言えるものがあまりなかったので、得意科目でもう少し研究を続けたいと思って大学は情報系に編入しました。

-高専で電子工学科があまり向いていないと感じたということですが、当時苦手な分野の勉強を乗り越えてきた方法はありますか。


根性で耐えたところはありますね。本当に受かるかどうか分からないギリギリで高専に入ったので、結構ついていくのは大変でした。留年する可能性はありましたが、なんとかついていくことで運良く耐えられました。
アウトプットすることが勉強になるということはわかってたんで、ブログに書いたり、動画を投稿したりして勉強したことを出力して定着させていました。

-高専5年間の中で、進路に迷うことはありましたか。


僕は本当は電気で行くつもりだったのですが、電気があまり得意ではなかったので、就職するか大学に進学するかすごく迷いました。早く働きたいという気持ちはあったのですが、これといって得意ではないもので一生やっていっていいのかと悩みましたね。周りの人たちもロボットやゲームを作りたくて入ったけれど、(高専では)ロボットを作らないじゃないかという話をしている人たちがいました。そういったギャップを感じて辞めていく人ももちろんいましたし、単純に面白くなくて勉強ができなくなって留年して高専からいなくなっていく人もいました。

-高専時代はどのような生徒でしたか。


仲の良かった担任の先生からは「見た目は真面目そうなのに不真面目」と評価されていました。あと、好きなものは好きだし、嫌いなものは嫌いでしたね。情報系の科目やプログラミングは楽しかったので、自主学習していてかなり成績が良かったです。そういうところが白黒はっきりしてると言われていて、今でもずっとそんな感じですね。

-『マイナス1分で乗り換えをしていた頃の話』(https://youtu.be/BnkNSy9f_F8?feature=shared)で、高専生の頃に地下鉄からバスへの乗り換え時間をいかに短くできる工夫していたとおっしゃっていましたが、動画向けのネタ以外にも普段から自分が興味を持ったことをとことん突き詰める癖があったのでしょうか。


動画で話したこと以外にも、そういった一般的にあまり他の人がやらないようなことを突き詰めるのは子供の頃からやっていました。中学生からはゲームを作ったり、曲を作ってみたりと個人で何かを制作することが多かったです。


麳聖貴(こむぎ きよたか)

(エンカレッジ神戸大学支部長)

「Why are you here?」自分と向き合う大切さを伝えたい


上山裕之

(王子動物園 園長)

喜ぶ顔を見られることが最高に嬉しい


杉野友亮

(Rokk-Code代表)

テクノロジーが世界を変える、テクノロジーを理解することは未来の社会を理解すること。


木村将徳

(神戸大学体育会軟式野球部 主将)

みんなに楽しく野球をしてもらいたい


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