No.93

食の背景を知った時に、こんなに美味しさって広がるんだ

久保陽香

(“ぶさべじ”代表)

Presented by Marina Yoshida, Yumika Kamada

Photo by Koki Yoshida


農家と学生をつないで学生の食への意識を改善するべく誕生した学生団体”ぶさべじ”。近頃メンバーが増えてきており、斬新な取り組みをどんどん行っている。そんなぶさべじの代表を務める久保さんを動かしたのは、大好きな”食と野菜”への情熱だった。

PROFILE

久保陽香

自分の好きなことで人を幸せにしたい

-ぶさべじさんは、どんな団体なんですか?


ぶさべじは農家と学生をつないで、若者の食への意識に革命を起こすことを目的ととしている団体です。食料廃棄がなく、人々が豊かさを感じられる社会になればいいなっていうビジョンを掲げて始まりました。「ぶさべじ」という団体名は、「ぶさいく・べじたぶる」の略称なんです。スーパーに並んでいる野菜って規格化されていて、見た目が悪かったりサイズが基準に満たなかったりする「ぶさいくな野菜」は並んでいないんです。だけど、ぶさべじでは農家さんが作ってくださったものであれば見た目を気にせず、ぶさいくなものでも全部いただこうって考えています。
活動としては、農家さんから直接いただいた野菜を販売したり、その野菜を使ってみんなで料理を作って食べるご飯会を開いたり、月2回直接農家さんから野菜が届く野菜つきシェアハウスを運営したりしています。そのような活動の中で、「農家をヒーローに!学生をクリエイターに!」というミッションを達成しようとしています。「農家をヒーローに!」というのは、農家さんってかっこいいよねって思ってもらえるように学生の意識を変えるということ、「学生をクリエイターに!」というのは、学生自身がワクワクすることを自分の手で作り上げて、それを通じてこれからの社会を作っていくということです。ぶさべじは、その手段として食や料理というものを提供したいんです。

-久保さんがぶさべじに参加するようになったきっかけは何だったんですか?


一回生の夏に海外インターンシップでフィリピンに行ったんですが、その時に出会った子どもたちが、みんな極端に体が細かったり太かったりしていたんです。その時お世話になっていたNPOのボスになぜこんな体型なのかを聞いたら、母子家庭という環境を理由に、お母さんが子どもにすごく甘いそうなんです。子どもが食べたいものしか食べさせないし、お腹が空かないって言ったら一日中何も食べさせなくてもいいって思っているそうで。それを聞いて、私は料理も食べることも好きだし、食に対してプラスのイメージばかり持っていたけど、食が悪い方向にも影響を与えてしまうんだと思って、初めて食の恐ろしさを感じたんです。それで、自分にできることは何かないかなと考えたときに、子どもたちに給食を作ろうとひらめきました。日本の給食を参考にして、知り合いの栄養士さんにアドバイスをもらいながら献立を作って食べてもらったら、子どもたちもお母さんも、美味しいし体にもいいって仰ってくれて。自分はただ好きなことをしているだけだったんですけど、料理を作ったり、料理のレシピを書いて親御さんに渡したりすると、それだけでとても喜んでくれたんです。自分の好きなことで人を幸せにしたいなという思いが叶った瞬間でした。
それから、フィリピンではバロットっていう伝統食があって、簡単に言うと孵化しかけの鶏の卵なんですけど、もう雛の体も出来てきているし顔も若干分かるような食べ物なんです。ずっと食べるのを避けていたんですけど、お世話になっているホストファミリーに出していただいたので、初めて食べてみたんです。その時に、殺めた生命を頂いているという意識を強く感じて。日本に帰ってきてからも、スーパーでお肉を見ても食べられなくて、それで野菜を食べていたら、野菜って意外と美味しいんだなって改めて気づいたんです。
そんな風に私が食や野菜に興味を持っていると知った3個上の先輩に誘われて、一緒に農家さんのところへ行ったんです。初めて実際に自分で野菜をとったり、他にもいろんな農作業をやらせてもらったんです。そうしたら、一つの野菜をとるのにもすごく労力がかかるし、ちょっと傷がついただけで市場に出せないことが分かりました。それに虫もたくさん出るし、天候も予想できない中で、それを生業にしている農家さんのたくましさを感じて、シンプルに農家さんってかっこいいって思いました。さらに農家さんは、自然との関わり方とか自分の知らない知識をたくさん持っていました。農作業のあと野菜バーベキューをしたんですけど、今まで美味しいと思っていたスーパーの野菜とは比べ物にならないほど、そこで食べた野菜が本当に美味しくて。新鮮さや野菜自体の美味しさはもちろんなんですけど、それ以上にその野菜を作られた農家さん自身を知って、仲良くなって尊敬して、その方が野菜に愛を注ぎ込んでいるのを知ったからこそ、野菜を今までより美味しく感じたんです。その時に、食って食材自体だけじゃなく、それに関わる農家さん、流通に関わる人、料理人の方、自然の恵みといったいろんな要素が重なってできていて、その食の背景を知った時にこんなに美味しさって広がるんだって知って、これをみんなにも伝えたいって思いました。そして一緒に行った先輩と、農家と学生をつないだら、学生の食への意識が変わるんじゃないかなって話して、ぶさべじを一緒にやっていこうって形になったんです


乾 晃大

(夜カフェ”notte”オーナー)

誰かに貢献できるのがビジネス


吉備 友理恵

(関西建築サークル#代表)

あなたと建築したい。


金川武

(国際文化学部3回生)

自分が誰よりも楽しんでやるんだ!


奥山慎介

(ファイト学習会教室運営責任者)

「プラスの言葉」で、生徒の未来を明るく。


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