NO.24
洲崎 敏伸
(理学部准教授)
「何億年も前の共生によって今の私たちがあります」

何億年も前から原生生物は互いに合体・共生を繰り返している。共生の仕組みの解明は、生物の改良へとつながる可能性も...?目を向ければ意外とあなたの身の回りに存在している、原生生物たちのお話。
Presented by Kaori Fujiyama
Photo by Kaori Fujiyama
マイクロ王カードで原生生物に親しんでほしい
― マイクロ王カードについて教えてください。
全部で3種類あって、1セットに18枚入っています。1枚1枚違う種類の原生生物が描かれていて、それを使って戦うというのがコンセプトです。実際に原生生物は水の中でも戦っています。大きいから強いという訳ではなくて、小さくても毒を持っていて強いというものもいるので、それをカードでも再現しています。3種類あるので、それらを混ぜて遊ぶこともできます。基本的に遊戯王のマネのような感じですね(笑)
― このカードを作ろうと思ったきっかけはなんですか?
私の研究室では原生生物を研究しています。卒業生に、山口県立ミクロ生物館の館長をしている人がいて、「お土産コーナーに置けるようなもの何かないですかね?」と相談されて、作ることになりました。そこの博物館では、世界で唯一、顕微鏡を並べて、普通の目では見えないミクロな生物を展示しているんです。マイクロ王カードの他にも、トランプやストラップも売っています。ランスでも売っていますよ。
― どうして神大で売ることになったんですか?
神大オリジナルグッズが色々あるでしょう。ランスの店長さんと仲が良くて、話をするうちに「ランスにも置きませんか?」と言ってもらったからです。神戸大学だけじゃなくて、近畿の大学、この辺りだと岡山大学や奈良女子大学などや、博物館の売店5~6か所にも置いています。いつも置いているのは琵琶湖博物館の売店です。
― 逆に、大学生活のうちにやりたかったことはありますか?
自分が音楽コースで実技の多い授業だったので、社会に入ってから経営学を勉強する機会があると、学生の時に経営学とか自分の専門とは違う学問もやっていれば楽しかっただろうなと思います。あと社会人になると自由な時間が少ないので、夏休みや春休みを活かしてもっと海外旅行をしてみたかったです。あと、いっぱい遊ぶこと(笑)
― 好きな原生生物は何ですか?
ラクリマリアです。長い首を自由に伸び縮みさせて、先端にある口でえさを捕まえます。和名ではろくろ首虫と言われています。他には、夜光虫もきれいですよ。刺激を受けると光るので、夜光虫のいる海で泳いだり、船が通ったりするとその刺激を受けて、きらきらと輝がやいて見えます。瀬戸内海にも特にたくさんいて、名物になっています。たくさんいると海が赤くなり、赤潮の原因にもなります。とくに毒はないですが、たくさん増えると海の中で酸欠になって、死んだものが腐って悪臭がします。
共生の仕組みを利用し、生物の改良ができるかもしれない
― 研究の内容はなんですか?
ミトコンドリアは、何億年も前、人間が小さな単細胞だったころに、私たちの祖先の中に入り込み合体しました。それがあって、今の私たちができています。何種類もの生物が合体して違う生物ができるということは、実は生物の世界では割とみられます。陸上の動植物にはそれほど例はないですが、海の中では小さな生物、動植物も合わせて一番多いもので7~8種類の生物が合体してできたものもあります。こういった生物は、マトリョーシカ生物と言われています。 ミトコンドリアに関しては、細胞の中に共生するという現象は随分前に終わってしまっていますが、現在進行形で共生を行っている原生生物について調べています。一番よく研究されているのは、ミドリゾウリムシです。ゾウリムシの中に小さな藻類のクロレラが数百個入り込んでいます。ゾウリムシの中で、クロレラは光合成をして麦芽糖という糖類を作り、ゾウリムシにあげます。その代わりにクロレラは安定した環境を手に入れます。また、理由はまだ分かっていませんが、ゾウリムシは光から遠ざかるのに、クロレラが共生しているゾウリムシは光の方向へ動きます。私たちの体からミトコンドリアがいなくなると生きていけませんが、ミドリゾウリムシはそうではなくて、共生してもしなくてもどちらでも生きていける、共生関係が今まさにできようとしている、という状態です。動物が他の生物を共生させたり、葉緑体を取り込んだりするのは、それほど難しいものではなく、しくみが分かれば、それを利用して様々な生物の改良ができるかもしれません。
― おもしろい共生をする生物はいますか?
生物が共生することは、人間には関係ないと思うかもしれませんが、意外とそうではありません。猫の寄生虫でトキソプラズマというものがいて、それが猫から人へ感染することがあり、感染すると、人間の脳の細胞に一生死ぬまで共生します。日本では2~3割ですが、フランス、イタリア、ドイツでは9割以上の人が感染しています。人間には害がないと言われていますが、脳の中に共生体が入り込むと、人間の思考を変え、男性は身だしなみが悪くなる、自分勝手になる、女性はより美しく着飾る、より社交的になるという研究結果もあります。妊娠中に感染すると、胎児に影響が出てくるので、妊娠中には何回かトキソプラズマの抗体検査というものをします。母子手帳にも書いてあります。今まで陰性だった人が急に陽性になると、なんらかの治療をすることが必要になるので、妊娠中は猫に接触しない方がいいというのは、そういう理由からです。他の生物が寄生するという現象は不思議なことではなくて、自分たちの身の回りで自然に起こっています。
― 原生生物の魅力を教えてください。
生き物って、ペットにできるじゃないですか。「原生生物がペットですか?」って思うかもしれないけれど。もっと小さな大腸菌や培養細胞に愛着を感じるのはなかなか難しいですが、原生生物は見ていて感情を移入できる一番小さな生物ではないかと思います。だから、見ていて楽しい。顕微鏡がないと見られないですけど、見ていると、かわいいなあと思うときもありますよ。
― 学生時代はどんな学生でしたか?
学生のころから、理学部で、原生生物を研究していました。生物学に興味を持ったというよりは、やっているうちに原生生物にたどり着きました。普通の会社に就職するのが嫌で、ネクタイをしないで生きている仕事というものを探しました。
― 学生のときにしておけばよかったことはありますか?
そうですねえ…世界放浪の旅かなあ。今は割と世界が平和だから、だいたいどこへ行っても安全じゃないですか。もちろん怖いところもたくさんありますが。行こうと思えば安全にまわれる外国がたくさんあるから、そういう旅行をしたかったなあと。その後何をするにしても経験になるから、一度見ておくというのはいいことだと思いますよ。就職しちゃったら行けないから、学生のうちに親に借金してでもいろんなところへ行っておくのがいいと思います。僕が学生のころは冷戦をしていたり、ベトナム戦争をしていたりで簡単に行ける外国というのはあまりなかったので、ぜひ。旅行をするのはいいと思いますよ。
4. 八十 祐治
経営学部卒の元Jリーガー・現弁護士
96. 杉野友亮
Rokk-Code代表
93. 久保陽香
“ぶさべじ”代表
62. 岩渕想太
現役神大生バンド“パノラマパナマタウン”Vo&Gt
43. 乾 晃大
夜カフェ”notte”オーナー