NO.14
片山 孝章
(ニュースネット委員会前編集長)
「ほんのわずかでも人を動かす事=”伝える”だと思う」

取材に行くたびに触れる、色々な人・もの・価値観。「なぜ?」という視点を持ち続けることは、世界をもっと面白くする。些細なことでも構わない。誰かを少しでも動かすために彼は伝え続ける。
Presented by Emika Hatasaki
Photo by Emika Hatasaki
取材をするうちに色々な人の価値観が見えました
― 神戸大学ニュースネット委員会について教えてください!
1995年、阪神淡路大震災をきっかけとして、放送委員会のプレス部から震災復興のために報道をしようとした人たちが、放送委員会から飛び出してできたのがニュースネットです。それ以降、震災復興支援の情報発信団体から徐々に形を変えて、他の情報も発信する団体になっていき今年で19年を迎えます。普段はネット上で報道をして、また紙媒体の新聞を年5回5000部ずつ発行しています。関西9大学の学生報道団体が所属するUNN関西学生報道連盟のひとつでもあります。
― 高校のころからこのような報道に関わる活動をしていたのですか
いえ、高校1年のときソフトテニス部でその後は帰宅部でした。出身が京都なんですが、京都大学の学園祭で、ニュースネットと同じくUNNに所属する京大EXPRESSを見て、大学生でこんなレベルのものが作れるのかと感動しました。その後しばらく忘れてたのですが、神戸大学に入学してその系列の組織であるニュースネットがあると聞いたんです。当時ニュースネットは部員2人と規模も小さかったのですが、その2人でしっかり組織を回していて、きちんと年5回の新聞も発行していました。そんな凄い先輩や組織に関わりたいなと思ったのが入部のひとつのきっかけです。1年生の頃は神戸大学の取材だけで70本は取材に行きました。最近はUNN全体の取材で神戸大学に関わらず色んなところに行きますね。3日以内には記事を完成させるので、入稿前には一日一本ペースで取材を行うこともあります。
― 昔からフットワークは軽いほうでしたか?
おしゃべりなほうではありますが、公の場でどうですかとか電話を掛けるのとかも苦手な方だったんです。でも、行っているうちに自分と違う人の価値観が見えてくるようになって、「そういう考え方もあるんや」と分かりだしてからは毎日取材に行けるようになりました。ニュースネットに所属して半年くらい経った頃に、先輩の取材に付いていくのではなく、一人で行くようになったので、相手の言ったことに関して即座に質問を考えて返せるようになり、記事にも深みが出せて取材も楽しくなりましたね。
何事にもなぜという視点を
― 取材をする上で気を付けていることはありますか?
5W1Hの事実確認と、さらにそのことに関して『なぜ』という疑問を持つことを考えるようにしています。例えば、開催する劇場があったとして、「なぜその場所を選んだのか。」とかですね。原理原則は前の編集長さんに影響されているんですけれど、何事にも『なぜ』という視点を持つということは自分で編み出しました。
― 昨年1年間編集長をしていて、何か自分の中での変化はありましたか?
編集長になったから俺が言わなきゃだめだと思って、遅刻なんかにもすごく厳しく怒ってばっかりだったんです。でも、それでは部員の反発を買うだけだと気づいて、怒るときにこういう訳があると理由をつけるようにしましたね。そうしていると最後には、みんな分かってくれました。また、人数も12名に増えて、より可能性のある団体だと思ったので、新しい試みも始めました。当時1日の訪問数が数人程度とかだったHPを見てもらうためにFacebookやTwitterでも発信したり、週に1回ミーティングを開いて、僕がミーティングの流れを書いたレジュメを作ったり、毎週月曜日には今週どんな取材があるのかをメーリスで流したりもしました。その結果、僕が1年生の時には180本程度だった取材が昨年は301本行くことができて、誤字脱字や事実関係のミスも減ったので、個人的にはまあまあ満足しています。
― 年間301本も書くときのネタはどこから見つけているのですか?
編集長になってからは毎日ニュースネットのメールボックスや学校の掲示板を見ることを信条にしていて、情報という情報は毎日チェックしています。それから編集長になってからは、常におやじに貰ったこのかばんを持ち運ぶようにしています。中にはパソコンだったり取材の予定帳だったりいままで取材した方の名刺が入っています。名刺も持っていると次の取材につながったりしますね。このかばんも、もう1年くらい持ち続けてボロボロになってしまっています。実家の京都から通いなんですが、取材のためだけに神戸に来たり、和歌山まで取材に行ったりもしましたね。
― なぜそこまで取材に頑張れるのですか?
単純に取材が好きだからというのと、小さなニュースも拾える神戸大学のメディアはニュースネットしかないと思っていて、それがなかったら小さな出来事やニュースって誰も知ることができないニュースになってしまうと思うんで、やっぱり僕らが発信することに意味があるのかなと強く感じているからかなと思いますね。前に取材した所に二回目の取材に行った時、「前の記事よかったですよ」って言ってもらえる時は本当にやってて良かったなって感じますね。
― 一番記憶に残っている取材は何ですか?
きっとどの部員に聞いても同じだと思うんですけれど、毎年1月号で特集を組む阪神淡路大震災の取材ですね。当時神戸大学生だった方を亡くされた親御さんを取材したり、近年おこった東日本大震災を関連させて聞いたりしています。何よりも重たかったです。きっと生涯忘れることは無いと思います。
― ニュースネットの編集長の経験が今後の将来に影響しそうだなという感覚はありますか?
団体の運営する力は編集長を通してそれなりについたので生かせるかな。もうひとつはこうやって記者業をやっているため、人と話す機会が多かったのでコミュニケーション力は生かせるかなと思いますね。実際も何事にもなぜという視点を持つことができるようになりました。街中で歩いていてもビラを見つけると「ネタかな」と思って目がいってしまいますね(笑)
― これから引退まではどのような活動をしていきたいですか?
後輩とかにも『片山さんすごいですね』って言われるんですけれど、伝える作業って誰しも楽しいと思うんですよ。自分の作品を見てもらうような感じで。ぼくらは大きな新聞社とかと違って単なる学生団体ですけれど、それでも、その小さな記事を見てくれた神戸大学生が何か変わってくれたら、それって誰だって楽しいんじゃないかなと思いますね。最初は報道に興味がなくても、おもしろい話が聞きたいとか立ち入り禁止の舞台裏に入ってみたいとかでもいいと思っています。そんな彼らに取材は楽しいんだ、こういう意味があるんだという思いを残すためにこの先8か月は活動していきたいですね。
― 片山さんにとって「伝える」とは?
誰かを動かすこと。一歩右に動くとか、ほんの些細なことでも構わないので、誰かを動かすことが出来たらそれが僕自身の考える『伝える』の意義ですね。
17. 河内 鏡太郎
文学部卒元ジャーナリスト
74. 麳聖貴(こむぎ きよたか)
エンカレッジ神戸大学支部長
62. 岩渕想太
現役神大生バンド“パノラマパナマタウン”Vo&Gt
60. 三ツ矢・M・たらお
自由劇場 新入生歓迎公演「ゆめゆめこのじ」演出
67. 山下真菜美
元町映画館映画チア部 文学部2回生