皆さんは椎名林檎の「勝訴ストリップ」というアルバムをご存知ですか?
このアルバムは2000年に発売された椎名林檎の2作目のアルバムで、
・オリコンチャートで週間ランキング1位、2000年度年間3位を獲得
・日本レコード大賞のベスト・アルバム賞、日本ゴールドディスク大賞を受賞
・最終売上は250万枚超え
という驚異の記録を持つアルバムで、このアルバムによって椎名林檎さんはカリスマ的存在になりました。
こんなに売れたのは「本能」「ギブス」「罪と罰」などの既に大ヒットを飛ばしていたシングル曲が収録されていたのもありますが、とにかくアルバム曲がハンパない。
歌詞が心をえぐってくるぐらい深く、また曲調やアルバム構成への椎名林檎さんのこだわり方が尋常じゃない。
一曲一曲のパワーが凄すぎてBGMにできないぐらい、素晴らしいアルバムです。
と言う訳で、私が特にすごいと思うアルバム曲を5曲紹介します!!
ちなみに上で挙げたシングル曲「本能」「ギブス」「罪と罰」は公式YouTubeにMVがありますので、アルバム曲限定でいきます。この3曲は有名なのでぜひ聞いてみてください!
それではどうぞ↓↓
すごいアルバム曲① 「虚言症」
椎名さんが高校1年生の時、少女が線路上で寝転んで自殺したという新聞記事を見て大きなショックを受け、初めて椎名さんが制作した楽曲。
「私と彼女では一体何が違ったのか?」「何が彼女をそうさせたのか?」と引っ掛かり、後ろめたさを感じ続けた結果、自分が生きていく以上、「消えちゃいたい」と思う女の子の気持ちを考え続けようと思い、椎名さんはシンガーソングライターになりました。(1)
(上記の理由から、椎名さんの楽曲のほとんどが女性の気持ちに寄り添った曲になっています。)
この曲で私が好きなところは、「一度聞いたら忘れないイントロ」と「サビの歌詞」です。
重く力強いギターの音からこの曲は始まります。
初めて聞いた時は、まるで突然殴られたかのような衝撃を受けました。
イントロだけで体ごと持っていかれるようなサウンドです。
そしてサビの歌詞の、
『線路上に寝転んでみたりしないで大丈夫
いま君の為に歌うことだって出来る
あたしは何時も何時もボロボロで生きる』
「寝転んだりしないで」みたいに止めるんじゃなくて、「寝転ばないで大丈夫」って言ってるところに、椎名さんの優しさを感じます。
そしてそれに続く歌詞も、「私はあなたの味方だし、ボロボロでも生きていくよ」という椎名さんの寄り添う想いが見えます。
曲調はゴリゴリのロックだけどとっても優しい歌です。
すごいアルバム曲② 「浴室」
「生死とかを超越した融合を実現したい」という欲望と提案について歌った曲。(2)
この曲はとにかく世界観が独特です。
『洗って切って水の中 呼吸器官は冒される』というサビの歌詞が印象的で、
ずっと水中を浮遊しているみたいな感覚に陥ります。
歌詞は字面で見るとちょっと怖いんですけど、曲に載せてつけて聞くと妙な安心感というか、包まれるような気持ちになります。
一定のリズムで打たれるビートと浮遊感が癖になる一曲。
ファンの中でもかなり人気です。(私も一番好き)
すごいアルバム曲③ 「闇に降る雨」
この曲もまずイントロがすごい。
弦楽器の多重奏が、ベートーヴェンの「運命」みたいな絶望を物語る。
その後一定のリズムで流れ続ける弦楽器の音は、まるで闇の中で降り注ぐ雨のよう。
また、サビの歌詞の
『貴方に降り注ぐものが 譬え雨(あめ)だろうが運命(さだめ)だろうが』
の韻の踏み方が綺麗すぎる。
その後の
『許すことなど出来る訳ない 此の手で必ず守る』
で力強い守りの宣言をした後に、
『側に置いていて』
これをか弱くてあま~い声で歌うんですよ。
はい、可愛いギャップ萌え。
曲調とは裏腹に健気なラブソングです。
すごいアルバム曲④ 「月に負け犬」
『好きな人や物が多過ぎて 見放されてしまいそうだ』
の歌声から始まる曲。
浅く広くいろんな人や物が好きな私には、この歌詞がめっちゃ刺さりました。
その後の歌詞の、
『此の河は 絶えず流れゆき
一つでも浮かべてはならない花など在るだろうか 無い筈だ 僕を認めてよ』
あくまで私の見解ですが、おそらく「此の河」は世間とか社会のことだと思います。
椎名さんが駆け出しだったときは、レコード会社の人などに曲の意味が全然理解されなかったみたいで、その時の心情を歌っているのかなという解釈です。
2番に『数字ばかりの世に埋まる』という歌詞もあるように、「定量的なものではなく、定性的な感情や想いを大事にして生きていくぞ」という決意の曲ではないでしょうか。
この先社会に出ていく身として、この感情は忘れたくないなと思います。
すごいアルバム曲⑤ 「依存症」
ファンシーなイントロから始まる一曲。
歌声もとても甘いのですが、サビになった途端に力強い歌声に変わるメリハリが良い。
依存症というタイトル通り、この曲には好きな男性に依存してしまう椎名さんの恋愛観が表れています。(2)
サビの歌詞の
『あたしが此のまゝ海に沈んでも 何一つ汚されることはありませぬ
其れすら知りながら貴方の相槌だけ望んでいる あたしは病気なのでしょう』
からも、自身の美しさや相手への真っ直ぐな好意が見受けられます。
この曲は半分ぐらいアウトロで、バンドサウンドがとてもかっこいいです。
このアルバムを締めくくる一曲。
まとめ
「勝訴ストリップ」のおすすめ5曲を紹介させていただきました。
これらは私の好みなので、ぜひアルバム全体を通して聞いて、皆さん自身の好きな曲を発見してみてください!
ちなみに椎名さんのアルバム全般そうなのですが、曲が全部つながるように作られているのと、曲名がシンメトリー(最初が「虚言症」、最後が「依存症」みたいな)になっています。こだわりが凄っ。この作り込み具合が椎名林檎なんですよ。
ぜひこれを機に、椎名林檎さんのいろんなアルバムを聞いてみてください!
読んでいただきありがとうございました。
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