KooBee本誌に掲載できなかったインタビューの全貌をWeeBee特別公開!!
5人組バンドwacciのVo./Gt.を務める橋口洋平さんの貴重なお話をお届けします。
PROFILE
橋口洋平
路上ライブからはじまった、音楽が繋ぐ様々な出会い。
-橋口さんが音楽活動を始められたきっかけは何ですか。
僕は小学校から大学まで一貫の学校に、受験で高校から入ったんですけど。最初のコミュニケーションをちょっと間違えてしまって、高校1年生の時に友達がなかなかできず、人間関係に結構苦しんだ時期がありました。そのときに、唯一友達になってくれた隣のクラスの人がアコギを持って歌を歌っていたんです。僕もその人の見よう見まねでアコギを買って、一緒に当時流行っていたゆずのカバーで路上ライブを始めたのが最初です。不特定多数の人の前で大きな声で歌うということが、それまでの自分にとってはすごく刺激的でした。歌っていると、知らない人が立ち止まって自分の歌を聞いてくれるというのが、それまで感じたことのない喜びでした。様々な出会いがあり、どんどんつながりが増えていくのも楽しかったです。その感覚が忘れられず、今まで続けているような感じがします。
-高校のときはクラブに所属せずに、路上ライブをメインでずっとされていたのですか。
高校のときは剣道部だったので、その練習が終わってから、アコギを持って路上に出て歌っていました。大学に入ってから、いわゆる軽音楽部というものに入りました。そこは結構大所帯で管楽器とかも入れて演奏するような、おしゃれな曲をいっぱいやるようなところでした。ロックやポップスをやっている人があまりいなくて、ジャズ、ソウル、ファンク、R&Bみたいな。なので、そこで音楽をたくさん学んだというような感じですかね。
-では高校の時は独学で音楽活動をやられていたのですか。
そうです、もう本当に見よう見まねで。高校1年生の時に2曲ぐらいコピーしただけで何の基礎もなく、とりあえずコードに知らないメロディーを当てはめて歌詞をつけてオリジナルと言ってやっていましたね。
-wacci結成後、30歳を前にして仕事をバンド一本に変えるという大きな決心をされたと思うのですが、その後押しになった出来事は何かありますか。
一番は事務所に入って、メジャーデビューに向けて前向きに進んでいくということが決まったことですかね。最後にもう一度音楽で食べていくという夢を追いかけたいという気持ちで結成したので、後押しになった出来事としては、一緒にやろうと言ってくれた事務所のスタッフの方との出会いが一番大きいと思います。
-メンバーとはどのような形で出会われたのですか。
みんなそれぞれ別のバンドをやっていて、同じライブハウスに出るバンド仲間でした。あるタイミングで活動休止や解散が重なって、この5人で一度、「橋口バンド」みたいな感じで僕のサポートとして入ってくれることになりました。実際にライブをしてみると、ちょっとかっこいいことを言うと、バンドっぽい音がしたというか。「僕+4人」というよりは、「5人で1つ」みたいなまとまりがあり、バンドを結成しました。
-アーティストの方はレーベルに所属しても絶対に成功する未来が約束されてるわけではく、そのような中で音楽で食べていくというのは大きな決断だったと思います。 私の知り合いにもバンド活動を最近始めた同級生がいますが、世間一般的に就職が安泰だと思いながらも、夢を諦められない大学生がいたとして、そのような大学生に対して何かアドバイスなどありますか。
僕は就職活動の際に50社ほど受けて新卒で会社に入っているので、大学生に夢一本でいけ!とは言えないかなというのはあるのですが。でも、音楽をやるという夢を理由に就活をやめることはできたはずなんですよね。でも辞めなかったのは、就活って人生においてすごく大事なのではないかと思っていたからです。自己分析をして自己アピールポイントを探し、相手に自分のいいところを伝えて、相手から評価をもらうというのは、人生においてすごく貴重な体験というか。僕は曲を書くという意味で何かプラスになることも絶対にあるだろうと思っていたので。実際、就職してから、会社員っていいなと思ったこともたくさんあったし、人にも恵まれて、尊敬できる上司もたくさんいました。
今学生の皆さんにアドバイスをするならば、追いたい夢をしっかりと自分の中で明確にした方がいいということです。その夢を叶えるために今やるべきことは果たしてそこに一直線に行くことなのか、もしもそこに迷いがあるのなら、別に回り道したって、みんなと同じように就職してみたっていいのではないかと思います。自分にその夢を叶えるという最終目標や思いがあれば、全部が結局プラスに働いて、最終的にいい形で叶えられることもあるんじゃないかなと思いますね。どうしても夢は1つに絞らないといけない、そんなに世の中甘いものじゃないと言われることもあると思いますが、僕は夢を叶えるやり方も、叶えた先でも、その手前で回り道をした分の良さがきっとあると思うし、常に保険をかけて選択肢を多くしておくことで分かる気持ちや感情もあると思います。夢を叶えるために、今自分がどのような道を選ぶのかというのは結構しっかり考えた方がいいと感じるので、いろんな選択肢を用意してもっと広く夢について考えてみてほしいです。
“ありのまま” をドラマチックに。誰かの力になれる曲を書き続けていきたい。
-作詞する上で、聞く人の日常に入り込むために意識していることはありますか。
日常に入り込むというか、僕も日常を過ごしているので。日常の中で思うことや感じたこと、嬉しかったことで、十分歌になることはいっぱいあると思っています。だからあまり特別なことは歌わずに、日々生きていて感じるイライラとか、苦しいとか、悲しいとか、嬉しいとか、付き合えて楽しいとか、そのような感情をドラマチックに書けたら、誰かのテーマソングみたいなものになるんじゃないかなと思っています。あんまり大それたことを言わずに、平易な言葉というか、普通の分かりやすい言葉でちゃんと伝わるように書くというのは意識しています。
-私が拝聴した中でwacciさんの曲にはあまりイライラや苦しみが押し出されている曲はなかったように感じたのですが、曲を作るにあたって使わないようにしてる表現やジャンルはありますか。
使っちゃいけない言葉をなくすようにしています。だから自由でいい。よく「愛している」と言わずに「愛している」を言うとか、「好き」と言わずに「好き」と伝えるには、みたいなことがあると思うのですが、そういうことにはあまり興味がなくて、別に「好き」で伝わるなら「好き」でいいやというような感じはありますかね。なので使っちゃいけない言葉をなくすようにしているということが、もしかしたらこだわりなのかもしれません。イライラしているという話で言えば、確かに怒りが表に出た曲ってそんなにないかもしれないですね。ただ、聞く人を元気にできるような応援歌を書こうとなったときに、1番最初にAメロやBメロに来てフックとなるのは、負けそうな自分や思い通りに行かない自分、好きになれない自分だと思います。例えば『大丈夫』という曲や、『空に笑えば』という曲もそうなんですけど、前向きな歌の中に、いっぱいイライラだったり、苦しみだったり、やりきれなさ、もどかしさみたいなものを入れるようにはしていますね。その方がやっぱり、前向きな歌ほど説得力が増すのかなと思います。
-音楽活動をする上で、人々に歌で伝えたいことはありますか。
歌で何かを伝えたいという気持ちは明確にはありませんが、曲をリリースしていく中で、「この歌で受験を乗り切った」とか、「この歌に救われてまた生きようと思えた」とか、ただ僕は頑張って目の前の曲を書き続けてきただけなのですが、そのような感想をいただけることが15年やってると少なからずあるんですね。やっぱり人間欲が出るもので、そういう誰かのためになる歌をこれからももっと書きたいなとは思います。別に元から何かを伝えたいから歌ってるわけではないのですが、誰かの力になったり、大事な1曲みたいな存在になるような歌をこれからも書いていきたいという気持ちは漠然とあります。
-去年『リバイバル』という曲がリリースされて、それがコロナ禍の自分にとても刺さりました。『Baton』では親子のことを書かれていますが、そのようなテーマはそれぞれの曲ごとに橋口さん自身で考えられたり、メンバーで話し合われたりするのですか。
最初のテーマは僕一人で考えることが多いですね。タイアップと言って、ドラマ主題歌や 映画、アニメなどきっかけをもらって書くことも結構あります。今言っていただいた2曲はタイアップでテーマをいただいて書きました。『リバイバル』という曲は、『めざましどようび』のテーマソングで、コロナ禍が落ち着いてきたタイミングだったのもあって、週末外に飛び出したくなるような曲を書いてほしいとオーダーを頂いて書きました。『Baton』はドラマのエンディングで、絆をテーマに書いた歌です。『別の人の彼女になったよ』という歌などのラブソング系は、あまりタイアップはないので自分でテーマを決めて自由に書くことが多いです。
-『別の人の彼女になったよ』は女性目線の曲だと思うんですけど、そういう曲はどういう風にして作曲されていますか。
周りの女友達に、今の彼がいて何の不満もないのに、前の彼といた時の自分の方が素でいられたな、みたいなことを言っている人たちが大量発生した時期がありました。20代後半ぐらいになってくると、学生の皆さんもいずれわかると思うんですけど、そのような経験をされる方がいると思います。決して未練ではなくて、忘れられない恋愛を1つや2つ心に残しながら、結婚したり、次の人と付き合ったりしている人も結構いるみたいで、そんな話を聞いていて、これは歌になるかもなと思って書いた歌ですね。
-ホームページに書かれている「聞く人全ての『暮らし』の中にそっと入り込んでいけるようなポップスを作るべく結成したバンド」というコンセプトは、どのようにして決められましたか。
当時は何の色もない地味なバンドで、メンバーやスタッフの皆さんと相談して「日常を歌う」というコンセプトをつけました。ただ、続けていく中で代表曲が生まれて、曲を出す度に「これはwacciらしい」「これはwacciらしくない」など色々な感想を言ってもらえるようになって、今は自分たちの色があるように感じます。だから、活動をする中で皆さんに色をつけてもらった部分がありますね。特に応援歌とラブソング。この2本の柱に関しては、 「これが自分たちらしさです。」と胸を張って言えるようになった気がします。
-長年続けられてきたからこそわかることや曲作りをする中で得たものはありますか。
曲をリリースするということは、誰かに届いた時点で、その曲が伝わるか、伝わらないかという正解がもらえます。その中で「この言葉は絶対に届く」「この言葉は嫌悪感を抱かれる」といった言葉の取捨選択は、この15年でできるようになりました。今までよりも分かりやすく、聞いている人にきちんと届く歌を書けるようになっていると思います。それに付随して、アレンジ面でもトライ&エラーを繰り返して、バンドみんなで成長できていると感じます。サウンドに関しても15年前にはできなかったことが今ではできていると思います。
橋口さんの考える日常のワクワク、音楽活動におけるワクワク。
-冊子のテーマのニチジョウマジックに関して質問させていただきたいのですが、橋口さんの考える日常のワクワクはどういうものですか。
僕の考える日常のワクワクは、プラスアルファじゃなくって、マイナスをわざと作ってへこみを作ることによって、 後で上がる喜びを感じることだと思います。例えば、苦しいけどたくさん勉強して、テストの結果が良くて嬉しいみたいな日常のワクワク。何かの大きな喜びを得るために、マイナスというか大変だけど必死に頑張る時期を作る。そうすることによって、自分の喜びを感じる基準のハードルがどんどん下がって、良い意味でボーダーラインが下がっていって、そのおかげで感じられる達成感みたいなものが、日常のワクワクかなと思います。だから、プラスよりも良いマイナス。バイトしているみなさん、6連勤のときの1日の休みの価値ってすごく高いじゃないですか。でも週に2日しかバイトがないときの他の休みの価値って、もう週2日のこのバイトが嫌じゃないですか。忙しい自分にしておいた方が、1日の休みの喜びの価値ってすごく上がるじゃないですか。そんなふうに、やりたくないけど後で結果に繋がるような努力で日常を埋めれば埋めるほど、自分の喜びを感じるラインも下がるし、結果として自分を磨けて、その喜びのワクワク感もあるというのが、自分の中では日々大事にしていることの1つです。わざと大変な時期を作ることによって、後になんでもないことでもワクワクできるようにするみたいな、そういうドMな感覚の自分がいます(笑)
-今一番ワクワクしてることは何ですか。
バンドとしては結成15年になるので、9月に日比谷の野外音楽堂という、大阪でいう服部緑地の野音みたいな、すごく大きな会場でのワンマンライブをやるんですよ。日比谷公園の野音は自分たちが大学生の頃に好きなバンドを見に行ってた場所なので、 そこでワンマンライブができるというのは、夢が1つ叶うので、すごくワクワクしてます。あとは、さっき言ってたすごい辛い思いをして書いた歌が広がったりとか、誰かに届いたときのワクワクは、やっぱり何にも代えがたいものはあるかなと思うので、それはこの仕事をやっている以上、引き続き感じていきたいワクワクだなと思います。
-学生時代と今で変わらずワクワクすることや、逆にワクワクするようになったことはありますか。
自分が勝手に作って歌い始めた歌を、人が聴いて感想をくれたりとか、出会いがあったりするのはやっぱりワクワクします。曲が勝手に1人歩きしていったことで見れた景色もあったし、出会えた人もたくさんいて、そういうワクワクはずっと感じていて、さっき言ったようにそれがやめられなくてずっと音楽を続けているみたいなところに繋がるかなと思います。
-橋口さんのワクワクカラーをメインに誌面を作らせていただきたいと考えています。橋口さんのワクワクカラーを2色ほど教えていただきたいです。
緑かな。ワクワクとは違うかもしれないですが、押しつけがましくなくて落ち着く色だから好きです。今のアーティスト写真の衣装が緑で、それ以外の衣装でも緑が多い気がします。もう1色はグレーかな。黒でも白でもないところにこそ、人間の感情は詰まってると思います。ラブソングの歌詞とかでも、イエスかノーでは言えない、どっちつかずな部分をすごく重宝していて、そういう意味で色のグレーにも惹かれる気がします。
橋口さんの持つやさしさと強さの背景に迫る。悩める大学生への処方箋。
-次に橋口さんご自身に関する質問をさせていただきたいのですが、音楽活動をしていく上で、過去に影響を受けた本や音楽、アニメはありますでしょうか。
「くるり」という京都のバンドが本当に大好きで、片っ端からカバーしていたので、その影響は強く受けているかなと思います。 ギターのコード進行にかなり癖があるバンドなのですが、それが大好きで、ギターの手癖はこのバンドの影響がとても大きいです。アニメで言うと、ドラえもんがすごく好きでした。 1人っ子だったので、家にあるドラえもんの漫画を読む時間が長くて、ドラえもんが僕の中で親友みたいな感覚で存在していました。だから、いつかドラえもんの主題歌を作りたいという気持ちがあります。夢として挑戦してみたいです。
-映画館で聞いてみたいです。今の質問と少し関連するのですが、自分自身をどのような子どもだったとお考えですか。
聞き分けがよくて、でもどこか淡泊な子どもだったと思います。父親の転勤で、小学生のときは3回くらい転校しました。だから、仲良くなってもどうせまたお別れだと思って、どこか心の中で防衛線を張ってたというか、セーブして踏み込みすぎないようにしてたようなところはあったかなと思いますね。人に嫌われたくなくて、いい子風に振る舞うけど、それに自我が付いてこないみたいな。自我が付いてこないから、ちゃんとわがままになるし、そんな自分が嫌いというような感じでした。あと、全部落ちてしまいましたが、中学受験のために小学校3年生ぐらいからずっと塾行ってたので、そういう意味では勉強ばかりしてた部分もあったかなと思いますね。
-ありがとうございます。次に、日々の生活に光が見えないとき、どうすればその日常に楽しさを見出せるとお考えですか。
種類によるね、どういうレベルのものだろう。これ結構、相手のレベルによって処方箋を変えないといけない気がします(笑)
-確かにそうです(笑)
フランクに、「あ、つまんねえな」みたいなことだったら、さっき話したようなわざと何かを超頑張ることによってへこみを作る。そうして自分の喜びのボーダーラインを下げることによって、後で喜びを感じられるようにする。それで、自分も磨けているみたいなことをやるっていうのがいいかなと思います。筋トレとか。
-ゴールのムキムキになることに向かってとかですね。
そうです。あとは、頑張ってる自分に酔えるっていうのはあると思います。僕はあまり筋トレをしませんが(笑)
-なるほど。では逆に、失恋したり、自分が失敗したりして、自分の良さを自分であまり感じられないとか、自分の短所ばかり見えてしまうみたいなときはどうすればいいと思いますか。
重いバージョンね(笑)
-重いバージョンです(笑)
もうそういうときは、それも自分だと思うことがいいのかなと思います。誰かみたいにならなきゃと思ったり、理想の自分になれないことにフラストレーションを抱えたりすると思うのですが、自分は自分で良いし、どんな自分も認めてあげられるようになることが一番大切かな。でもそういうのは本当に難しいですよね。僕もなかなかできないでいますけど、歌では言えてるし、そういう歌ばっかりなので。だから日々の生活に光が見えないときに、光を見ることができない自分も自分であり、それを許してあげることが大事かなと思います。
-応援歌だったら、そういった悩みを抱えている人に、どういう言葉を伝えたいと考えていますか。
基本的に応援歌を書くとき、そういう人を救いたいと思って書いていないです。多分それってすごくおこがましいというか、誰やねんという話になると思っていて。「光が見えないよね」と歌うことの方が大事かなと思っています。どういうふうに光が見えないのか。楽しさを見出そうしてあげるというよりも、光が見えないことを一緒に共感する方が僕の書き方としては正しいかなと思います。最近だと、『どんな小さな』という、ドラマ『放課後カルテ』の主題歌があって。もう本当にそんなのばかりですね。誰かと仲良しでいなきゃいけないの辛いとか、辛いときに前向きな言葉をくれる誰かのそのやさしさが無理とか。そういうようなことをAメロBメロでは書いてて、サビは前向きなことを書いています。光が見えない種類をどれだけ書くかみたいなのが僕の応援歌かなと思います。
-私もwacciさんの曲を拝聴して、昨日ちょうど『放課後カルテ』観ていました。心臓病を患ってる男の子がいるんですかね。それで、お姉ちゃんと母親との確執というか不和みたいな場面を少し観たのですが、心臓病なのですぐに治るようなものでもないし、メンタルの問題でもないじゃないですか。
うん、ないない。
-ただの感想になってしまうのですが、世の中にはメンタル面さえ変わればどうにでもなるようなこともあれば、状況がすぐには変わらないようなこともたくさんあると思っていて。そういったときに、ただ頑張れと励ますのではなくて、辛いこともあるよねって共感してくれるwacciさんの歌は、すぐには変えられない問題で苦しんでいる人や、辛い思いをしている人に寄り添っていて、その人たちにとってはすごくありがたい曲なのかなと思います。
すごい、神社みたいな(笑) そう言ってもらえるのは嬉しいですね。でも、客観的にかわいそうというか、どうにもならない大変な思いをしてるように見える人でも、本人からしてみればそんなに悲観することでもなかったりするよね。どうなんだろうね。
その人には絶対なれないので、わかったような口は聞けないから、寄り添いすぎも良くなくて。でも、確かにありますね。頑張れっていうふうに強く背中を押すことよりも、どれだけ共感できるかということを、大事にしているかもしれないです。失恋ソングとかも、全然希望はないのに救われることってあるじゃないですか。あれって多分、私の気持ちをわかってくれたということだと思うんですよ。それだけで十分救われることってあると思う。そこは届けていきたいですね。
ミラクルを起こして、いろんな人に届いていくのが楽しいですね。 ワクワクします。
-ありがとうございます。大学生に日常で聞いてほしいwacciさんのおすすめの曲があれば教えていただきたいです。
これは、『どんな小さな』という曲がやっぱり今僕らにとっても大事な1曲なので、 ぜひ聞いてもらいたいなとは思いますね。比べるのは誰かではなくて、基本的には昨日の自分だったり、これまでの自分なんだっていうところを伝えている歌だと思います。自分の中には、良い自分だけじゃなくて、嫌いな自分、好きになれない自分、めんどくさい自分がいて、自己嫌悪に陥ったり葛藤したりすることもあると思うんですけど、そういうのをちゃんと認めてあげられる歌なのかなと思います。あとは、『恋だろ』かな。恋はどんなものでも超えられるみたいなことを歌ってるのですが、あれも自分の好きなものは好きと胸を張って言ってて良いということを書いた歌なので聞いてみてほしいです。やっぱり、自己肯定感を上げられる歌は、大学生の皆さんに聞いてほしいかなと思います。それと別に失恋している人は失恋系の歌が色々あるので、そっちを聞いて欲しいです。
-ありがとうございます。最後に大学生に一言、何か橋口さんのお言葉をいただけたら嬉しいです。
そうですね、さっきも言ったのですが、選択肢はいくらでもあるし、自分が何か夢を叶えたいと思ったときに、決して道は1つじゃないんだっていうのを伝えたいですね。これから何かを選択する場面というのは増えてくると思います。何かを選ぶときに、これを選んだらもう一生これで終わりだみたいな気持ちになることもあると思うんですけど、全然そんなことはなくて、その先にも選ぶタイミングはたくさんあって、何度でも元に戻れるし、違う方向に行くこともできると思います。選ぶことをそんなに怖がらなくても、後でいくらでも正解にできるということは、僕がこれまで生きてきて強く思うことなのでみなさんにも伝えたいです。1つの道にこだわらず、いろんなことに挑戦して、いろんな人に出会って、いろんな世界を見つつ、いろんな自分を知ってほしいなって思います。そのために時間のある大学生活で、やりたいことを何でもやって、楽しんでほしいです。