Adfes2018で金賞を受賞し、クライアントであるH.I.S.の新サービス「おねだりメーカー」を始動させた神戸大学広告研究会AdTAS。毎年多数の広告コンペに応募している彼らの、「広告」に対する情熱を探る。
PROFILE
AdTAS
好きなことなら誰よりも先を行く
-AdTASの活動について教えてください。
活動の核となっているのはビジネスコンテストやコンペへの応募です。具体的には、クライアントとなる企業から提示された課題に対して、自分たちが考えたアイデアをパワーポイントにまとめてプレゼンするという事をしています。また、神戸大学の他のサークルや地域のイベント主催者の方から依頼をいただいて、フライヤーやロゴなどを作ることもあります。広告研究会という名前が付いていますが、あまり研究というような活動はしていません。週一回のミーティングでは毎回違うことをしていて、デザインが得意なメンバーがそれについての勉強会をしたり、みんなでコンペやアイデア出しの練習をしたりしています。
-AdTASの名前の由来を教えてください。
最初、AdTASのAdはAdvertisementからとったものだったのですが、All design, Think Act Share の頭文字をとってAdTASという解釈に変わりました。AdTASの活動内容は細かく決まっていないからこそ、みんなのやりたい事を実現できる場所にしたい、みんながやりたい事をやろう、という思いがあって、それがAll designの部分に表れています。デザインと聞いて最初に思い浮かぶのは絵を描く方のデザインだと思うのですが、広告は消費者とのコミュニケーションであり、そのコミュニケーションをデザインするという意味でのAll designでもあります。広告を打ってそれを見た人がこういう風に動いて、こんな結果になるだろうという事を考えるのもデザインなんです。
-ミーティングの他にはどんな活動をしているんですか?
夏と冬と販促の3回合宿をしています。夏の合宿は遊びに行くことがメインなのですが、冬と販促はがっつり籠って広告のことを勉強します。販促合宿というのは、販促コンペというたくさんの企業から提示された課題から好きなものを選んで応募するコンペに参加するために、みんなで集まってプレゼンを考える合宿です。去年僕のチームが選んだのはアサヒビールの「もっと生ビールを飲んでもらうにはどうすれば良いか」という課題でした。女性などビールを飲まない人に無理に飲んでもらうのではなく、普段から飲む人にもっとビールを飲んでもらえるような広告を作ろうということになりました。「とりあえず生」という言葉があるように、二杯目からもビールを飲む人って少ないと思うんです。だから、「またしても生」という標語を作って、キャンペーンを打とうということになりました。この標語は「◯◯生」のように大喜利形式で案を出して作りました。コンペではパワポを作って提出するのですが、そこには実際どういう風にキャンペーンするのか、そう考えるに至った根拠などを書きます。
-Adfesとはどのような大会なのですか?
Adfesは学生団体が運営する、各大学の広告研究会のNo.1を決める大会です。クライアントの提示する課題に対してアイデアを出してプレゼンするコンペ形式で、金賞を受賞したチームは実際にキャンペーンを行うことになります。
今年のクライアントはH.I.S.で「大学生に卒業旅行に行ってもらうためにはどうすれば良いか」という課題でした。ちなみに広告に使える予算は10万円までという条件付きです。この予算額は大手の企業が行うプロモーションの費用としては破格に安い、少し厳しい条件でした。予選と本戦があり、予選に参加した12チーム中8チームが本戦に進出しました。予選ではプレゼンの動画を送るのですが、本戦では東京の明治学院大学で実際にクライアントの前でプレゼンをしました。予選から本戦までに期間があるので、その間に案を練り直して発表するという流れです。
-どんなアイデアを発表したのですか?
予選では、学生はあまりお金がないから、卒業旅行では遠くに行きたいけど近くて安価な所に行くという現状に注目しました。そこで旅行資金を集めることが必要だということになったのですが、H.I.S.から直接お金を渡すのは予算上できないので、H.I.S.のホームページ上でクラウドファンディングをして旅行資金を集めようという案が出ました。この案で予選は通ったのですが、中間の時点でホームページ上でクラウドファンディングのような複雑なシステムを作るのは難しいと言われました。そんなときに、親は意外と卒業旅行の資金援助をしても良いと思っているけど、子どもはあまり親を頼らないというデータが見つかったんです。そこがミスマッチだと思い、「おねだり」を企画にしたら面白いんじゃないかと考えました。だから旅行資金を集めるという視点は変えずに、決勝では「おねだり」のプレゼンが簡単に作成できるページを作って、親にそのプレゼン資料を送ってもらい、その「おねだり」が受け入れられた場合H.I.S.のスカイという商品券を買えるページに飛ぶようにするという案で発表しました。このアイデアで優勝して企画を実現することになったのですが、H.I.S.ではネットで商品券が買えないとの事で、結果的には親に旅行代を「おねだり」してみようというサービスになりました。このページの中の文言や質問内容などは自分たちで考えて、ページのイラストの一部もメンバーが担当しました。質問に答えていくと、おねだり用のプレゼン資料がPDFで出力されて、それを相手に送って反応を見るというものです。ぜひ試してみてください!
-AdTASの強みは何だと思いますか?
プレゼンには自信があります。AdTASは今年で5年目なのですが、先輩方からどんな風にプレゼンしたら良いのかということなどを教えてもらえているので、全くノウハウがないグループより有利だと思っています。 また、AdTASのメンバーは学部がバラバラで、色々な趣味の人がいるところが魅力ですね。掃除と音響が趣味のメンバーがいて、いつもウェットティッシュで机をキュキュって磨いていたり、自分のミキサーに高橋さんって名前をつけていたり、個性豊かなんです。
-今後の活動について教えてください。
関西には広告研究会が少なくて、同志社大学が開催している大会以外では今のところコンペがないので、AdTASで次の春にコンペを主催する予定です。あとは、今年からフリーペーパーを作ろうということで活動し始めています。発行頻度は相談中ですが、毎回のテーマを動詞にすることが決まって、今作り始めている最初のもののテーマは「溶ける」にしようということになりました。こんな風に新しい事が始められるのは、みんながやりたい事に全力で取り組もうという理念があるからだと思います。
-最後に神大生にひとことお願いします。
広告研究会という名前だけだと、何をしているか謎だと思う人も多いと思うのですが、Adfesのようにクライアントの課題を解決するアイデアを考えて、それを企業の方といっしょに実現したり、デザインをしたり、動画をつくったり、コピーを書いたりと、メンバーそれぞれが好きなことに全力で取り組んでいます。AdTASの活動に興味を持った人、考えることが好きな人、デザインしてみたい人、ぜひいっしょに活動してみませんか??
-おねだりメーカー
https://www.his-j.com/gakusei/onedari/#!page1