No.87

広く、かつ深く、物事に取り組む

山本真也

(国際文化学研究科准教授)

Presented by Kohei Moriyama, Saki Watarai

Photo by Saki Ikeda


「チンパンジーの人」でお馴染みの山本教授。しかし、教授の興味は霊長類だけではなかった。ジャズからパイロットまで果てしなく広がる好奇心と霊長類研究という高い専門性の相互作用で、人生はこんなにも面白いことになる!もっと興味を広げたい大学生のあなたに読んでほしいインタビュー。

PROFILE

山本真也

繋がる、オンとオフ

-まずは山本先生がされている研究について教えてください。


チンパンジーやボノボとヒトを比較することによって、「ヒトとは何か」ということを進化的な視点から見ようとしています。僕は「ヒトとは何か」を知るために重要になるのが文化と協力行動だと考えていて、それらがどのように生まれてきたのかを研究しています。研究対象を、大学の卒業研究ではニホンザル、大学院ではチンパンジー、その後はボノボ、というように広げていて、神戸大学に来てからはさらにその他の霊長類や、進化の系統的には遠いけどヒトの社会にすごく入り込んでいるウマやイヌなども研究の対象です。僕の研究の特徴は、分野にとらわれない手法を取っていることで、飼育下の動物たちを通して研究する手法と、自然の集団を観察する手法、それぞれ比較認知科学や霊長類学において一般的な手法なのですが、僕はその両方を組み合わせているんです。彼らを通して見ることによって、ヒトの特徴だと思われてきたことが実はそうではないということもたくさん分かってきています。ヒトだけを見ていてもヒトのことは分からなくて、他の動物を通してこそヒトのことが分かるというのが、面白いポイントです。

-そもそも霊長類に興味をもったきっかけは何ですか。


これといったきっかけはなくて、長いスパンでだんだんと興味を持つようになりました。もともと自然が好きで、自然や動物に関わることがしたいという漠然とした気持ちがあったので、大学では生物専攻のある理学部に入りましたが、だからといって、大学でずっと生物学の勉強をしていたかというとそんなことはなくて、3回生頃までは軽音楽部の活動にのめりこんでいました。また長期休暇の度に海外へ一人旅に出るようになって、バックパッカーとしていろいろなところを回っているうちに文化やヒトそのものにも興味を持つようになりました。卒論のテーマを決める際に、自分が興味のある自然や動物、さらには「ヒトとは何か」という関心に結びつく分野はどこかと考えた時、霊長類のフィールドワークを通して人類進化を研究している研究室がぴったりだと思い霊長類研究に進むことにしたんです。

-なるほど、たくさんの興味の中で霊長類研究の道を選ばれたのですね。では、それからは研究一筋という感じですか。


研究は好きだけど、僕はプライベートで好きなものと研究は切り分けて考えてもいいと思っています。趣味とは切り離して、研究はあくまで仕事として捉えているところもあります。生活をオンとオフに分けるとすると、研究はオンの部分、趣味はオフの部分と考えています。

-オン/オフのオフでの経験や知識が研究に繋がることはありますか。


繋がることもありますね。研究のため、というように考えているわけではなく、自由に興味を追及していると、後々繋がるところがあります。例えば、霊長類の研究と僕の趣味である音楽を組み合わせることももちろん可能です。音楽では他者とリズムを合わせるといった同調行動が大切ですが、この同調行動は協力社会を築いていく上でもすごく重要だと考えられています。でも、それにも関わらず、音楽の起源ってあまりよく分かっていないんです。実際、これから音楽や同調と協力社会の進化についても研究したいなとも思っています。これは他者と心を通わせる共感にも結び付き、研究テーマは大きく広がりますね。


吉岡詩織

(“よしおカフェ”店長)

私にとっての強みが、たまたま料理だったっていうだけ


宮崎信/山岡義大

(工学部大学院卒業生)

遊び心で生まれるひと工夫


堀川 恭加

(女子ラクロス部キャプテン)

新しい”伝統”を作っていきたいです。


中村 匡秀

(工学部准教授)

いっぱい失敗して経験値を貯めてほしい。


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