「趣味は何?」と聞かれたら、あなたはどう答えるだろうか。
新学期の自己紹介、飲み会、バイトの面接に至るまで、ありとあらゆる場面で使い古されてきたこの質問。
私は今まで「料理」と答えてきた。
そうすると大抵聞かれるのが、「得意料理は?」である。
この言葉は非常に恐ろしい。「肉じゃが」なんて答えようものならあざとい女認定されてしまうし、「味噌汁」もそこから会話が盛り上がる方向に持っていくのは難しそうである。なんと中には「焼き魚」とかでも「焼くだけでしょ?」という反応をする人がいるらしい。絶対魚焼いたことないやろ
そんな中、得意料理界隈で最も不遇な扱いを受けている料理をご存知だろうか。
そう、「パスタ」である。
検索エンジンに「得意料理 パスタ」と入れると、まあ出るわ出るわ不評の数々。
特に多かったのは「簡単」「誰でも作れる」という意見。
しかし考えてほしい。パスタの料理としての地位自体はそんなに低くないはずだ。デートや会食に使うようなオシャレなお店の候補には必ずイタリアンレストランが入っている。なのになぜ手料理になった途端、こんなにもひどい言われようなのだろうか……?
私は三日三晩考え、一つの結論に辿り着いた。
手料理とお店のパスタで圧倒的に違うもの……それは名前である。
ちょっといい感じのイタリアン料理店に行ってメニューを開くと、タリアテッレとかプリマヴェーラとかトラパネーゼとかよく分からないカタカナを目にして緊張感が高まった経験のある人は少なくないだろう。
対して私たちはどうだろう。カルボナーラとかナポリタンみたいな聞き慣れたものか、レイゾウコニアルモノイレテミターノみたいな名もなきパスタばかり作っている。
もちろんそれらが悪いわけではない。しかしパスタを得意料理というのが憚られる風潮があるのなら、それを打開するような凄そうな名前のパスタを作りたい……!
というわけで、変な名前のパスタを作ります。
!注意!筆者は料理は好きだけど得意ではないです。手際の悪さが写真から伝わってしまう可能性がありますが、温かい目で見守ってください。
1, カチョエペペ
初手から可愛らしい名前のパスタ。チーズ(カチョ)+胡椒(ぺぺ)でカチョエペペ らしい。シンプルなネーミングである。
材料
・スパゲッティ 食べる分だけ
・塩(茹でる用) 適量
・粉チーズ(味付け用) 好きなだけ
・パルメザンチーズ(トッピング用) いい感じに
・胡椒(味付けとトッピング用) 適量
・茹で汁 大さじ2
作り方
①パスタを茹でる。
大鍋で一人分を茹でるのはめんどいので片手鍋で。
②茹で上がったスパゲッティを粉チーズ、胡椒、湯切りの時にとっておいた茹で汁と混ぜ合わせる。
もうこの時点でいい匂いがする。
③お皿に盛りつけ、細かくしたパルメザンチーズと胡椒をトッピングする。
完成!
感想
かなりシンプルな味付けなので、パルメザンチーズは塩気が強いものを選んだ方がいいかも。そのままで食べる用のものを買ったからかちょっと淡白な味わいになった。でもおいしい。パスタを茹でる以外に火を使わなくていいのもこの季節に嬉しい。
2, アーリオ・オーリオ
正式名称はアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ。そう、あのペペロンチーノである。こんなにかっこいい名前を隠し持っていたなんて。これからはファーストネーム+ミドルネームのアーリオ・オーリオと呼んであげよう。
材料
・スパゲッティ 食べる分だけ
・塩(茹でる用) 適量
・鷹の爪(輪切り) 思ってるより少なめ
・ガーリックパウダー 小さじ1
・オリーブオイル 大さじ1.5
・塩(味付け用) 適量
・茹で汁 大さじ2
・パセリ 適量
作り方
①パスタを茹でる。
同じく片手鍋。
②フライパンにオリーブオイルを敷き、鷹の爪を弱火で炒めたら茹で汁を加える。
茹で汁を入れるとき、フライパンが冷めるまで待った方がいいです。私は待ちきれなかった結果、腕を軽く火傷しました。
③茹で上がったスパゲッティと塩を入れて弱火のまま混ぜ合わせる。
④お皿に盛りつけてパセリを振る。
完成!
感想
当たり前だけどペペロンチーノだ。おいしい。ガーリックが利いているので暑い日に食べると元気になりそう。鷹の爪の辛味成分がオリーブオイルに移って思ったより辛くなるので、ちょい少な目ぐらいでいいかも。
3, プッタネスカ
カメラロールを見返し、「なんか画が白っぽいんだよな〜そろそろトマトソース食べたいな〜」と思っていたところ、めちゃくちゃよさそうなレシピを見つけてしまった。ここまで作ってきた2つのパスタが調理時間30分以内だったので、今回も30分以内で作るぞ!と意気込んでいた。この判断が後の過ちに繋がるとも知らずに……
材料
・スパゲッティ 食べる分だけ
・塩(茹でる用) 適量
・トマト缶 200~300gぐらいのやつ一缶
・アンチョビフィレ 2切れ
・ブラックオリーブスライス 25~30g
・鷹の爪 そこそこ
・ガーリックパウダー 小さじ1
・塩 小さじ4分の1
・オリーブオイル 大さじ1
・茹で汁 大さじ2
本当はケッパーとかも入れるけど今回は省きます。一人分だと買っても使い切れないし。
作り方
①パスタを茹でる。
片手鍋。
②フライパンにオリーブオイルを敷き、中火でアンチョビフィレを炒める。
わぁ~いい匂いする~
あっつ!!!!!
火傷しました。
③ブラックオリーブスライス、鷹の爪、ガーリックパウダーを入れて弱火で炒める。
そうこうしているうちにアンチョビの水分が飛んでそぼろみたいになってしまった。こ、このままではまずい……!
ここでふと気づく。茹で汁を取っておくの忘れた!
手早く仕上げることに気を取られ、すっかり頭から抜けていた。
茹で汁を入れる理由はパスタソースを乳化させてとろみをつけるためなので、多少麵との馴染みが悪くなってしまうかもしれないが仕方がない。cooking must go onである。
④トマト缶、塩を入れて中火で炒める。
もうここまで来たら後戻りできない。祈るような気持ちでトマト缶を投入したところ、全体的に水分が戻っていい感じになった。
⑤スパゲッティを入れて混ぜ合わせる。
ここまでくれば完成間近。時計を見ると残り3分ぐらい。巻き返せるか……!
⑥お皿に盛りつける。
完成!
感想
紆余曲折あったためドキドキしながら口にしたが、お、おいしい……!トマト缶、ブラックオリーブの塩気にガーリックが加わってけっこう味が濃い。胃にガッツリ来るのでランチよりディナーに食べたくなる感じ。お酒に合いそ~~~~~
今回はトマトソースを使ったけど、ホールトマト缶にするとトマトのゴロっと感が残って満足感が高まりそう。
ここまで味の系統が違う3種類のパスタを作ってきた。これらは材料の数や調理の手間はバラバラだったが、唯一共通している点は「初見で作って30分以内で完成する」ことである。(トラブルがあったプッタネスカですら30分ちょうどぐらいで出来上がった!)
聞き慣れない名前のパスタでも、手軽においしく作れるものがある。得意料理を聞かれた時にはこれらの名前を出せば、「なにそれ!」と相手の興味と驚きを引き出せること間違いなしである。
参考にしたレシピ
https://www.kurashiru.com/recipes/55a2b0b9-74af-4bd9-836f-7fc5ade14b81
https://www.kurashiru.com/recipes/b28ce7d5-33ec-41c6-a1f0-f99af32ef9d3
https://www.kurashiru.com/recipes/f3f7227a-288b-41c3-ba7a-fd9309aec472