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待ちに待ったチャイムが構内に響きわたる。
キャンパスは、昼休みにも入り多くの学生で溢れている。
そんなキャンパス内には私たちとっておきの心落ち着く場所がある。
それはD棟だ。
エレベーターのないD棟の階段を上がると、大きな窓が見えてくる。
最上階なので人がいるはずもない。
そこから見える神戸の街並みは、まるでジブリの映画に出てきそう。
少し蒸し暑いが、
屋上に出れば神戸港からの涼しい風が感じられる良い場所だ。
ふと視線をおろすと
暑いのか、窓を開けようと
必死に手を伸ばす彼女の姿が目に入った。
その無邪気な彼女の後ろ姿は
高校での思い出を想起させた。
大学生になって、数ヶ月。
まだ、心のどこかに高校の頃の
私たちが残っているのかもしれない。
そう思った時には、カメラのシャッターが下りていた。