Q.退職してカフェを始めたきっかけはなんですか？

妻はずっと「笑顔で笑顔をつくる」ことを目指して生活してたんです。妻は大手のカフェで働いていたのですが、もっとこじんまりしたところで勉強したいっていう思いがあって。失敗しても取り戻せそう、やるなら今しかないと思いました。勢い、なんですけど、笑顔で笑顔をつくる仕事って素敵だなあと思って、妻とともにカフェを開く決心をしました。

なぜカフェなのかというと、カフェは全てを求められる点で普通の飲食店とは違う魅力を持っていると思っているからです。カフェっていう仕事が「笑顔で笑顔をつくる」にリンクしたからカフェをしています。

Q.「静けさを楽しむカフェ」にどういった想いがこもってますか？

私たちにとってカフェは、２人で行っておしゃべりする場所じゃなくて、１人で行ってゆっくり時間を過ごしたり、夫婦二人で行く落ち着いた気持ちのいい場所なんです。オープンして間もない頃に常連さんになってくれる人って結構おひとりさまが多かったんです。その人たちはケシパールで過ごす時間とか雰囲気を好きになってくれて。だから、私たちは過ごす時間とか雰囲気を大切にしたいんです。

雰囲気ってお客様同士の関わり方にすごく影響すると思います。静かにってことは大事にしてるんですけど、もっと大切なのはお客様同士の思いやり。落ち着いた空間をみんなで共有して、思いやりのある空間にしたいっていうのが最初です。そこで大事にしているコンセプトは「ひとときの休息」です。お客様たちがそれぞれ「ひとときの休息」を楽しんでることを共有し合えば思いやりができるんじゃないかなあ、そうなってほしいなあって思います。

オープン当時、お店が流行らなくて苦労しても３年間はやってみようって決めていました。でもお客様がケシパールのことを楽しみに来てくれたりしてて、いつのまにかお客様たちもケシパールの一部になってきてるって感じて、辞めれないなって思ったんです。

今はケシパールをさらに育てたいなって思ってます。今は「ひとときの休息」っていうのをものすごく尖った形で目指してるけど、そうじゃなくて門戸を広げる形、「笑顔で笑顔をつくる」を別の形で表現したいです。でもそのためには、まず今このお店でなるべくできることをして、ケシパールのことを知ってもらいたいなと思っています。

笑顔で笑顔を作りたい、食べてほしいっていう思いがあるから、器もこだわったり、チーズケーキもたくさんの種類を作っちゃいます。ものにこだわるよりも、ものを通じて、その先にお客さんがどう感じるかを考えてます。コーヒーも私たちが好きだからこそ、好きな豆を選んで、私たちが美味しいと思う淹れ方や飲み方で飲んでほしい、そのために豆本っていう小さな本を置いて、お客様に見ていただいています。その人のことを考えて思いを込めて淹れてるから、美味しい飲み方で飲んでほしいんです。

Q.これからどういうカフェにして行きたいですか？

本当は「笑顔で笑顔をつくる」ための「ひとときの休息」、その要素としての思いやり、静かな空間があるので、静かなことだけを大事にしているんじゃないんです。このお店に知らずに入ってきた人が、入った瞬間に誰に何も言われることなく、「あ、このお店はこう過ごすべきだ。」っていうのが肌で感じられるようなお店になったらいいなって思ってます。

トークや勉強ではなく「ひとときの休息」を目的に来てもらえると気に入ってもらえると思います。純粋に場所、空間、雰囲気、時間っていうものを楽しんでもらえたら嬉しいです。

僕は全く違う道に飛び込んできたのに、サラリーマン時代にやってきたことや、その前の大学時代にやってた部活の経験が今活きてると思うんです。何か全力で打ち込んだり、他のことが気にならないぐらい没頭できることが見つかれば、絶対にそれにのめり込んだ方がいいと思います。でもそれが見つからなくても焦る必要はなくて、まず、自分の好きなこととかやりたいことを見つめ直して、自分なりのものさしを磨けてるなって思うようなことに時間を費やせると、より濃厚な学生生活が送れるようになると思いますね。

初めてケシパールを訪れたとき、静かなカフェって変わってるな。と思いました。やっぱりカフェはおしゃべりをしたり勉強や作業をする場所をするイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。でもそういったことから一旦離れて、想いを込めて作られたチーズケーキ、飲む人の顔を浮かべながら淹れたコーヒーとともに、"ひとときの休息"を楽しんで、気づくと笑顔になっているとても素敵なカフェケシパール。大事な人と行きたくなる優しくて温かい「特別な」カフェでした。