NO.79

これだったら大学生活4年間、棒に振ってもいい。そう思えたのが「演劇」でした。

本田優

Presented by Manae Kawaguchi, Madoka Yoshih
Photo by Nami Yoshida

演劇少女だった彼女が、神大に入って選んだのはジゲキだった。ジゲキの一員として作り上げる毎公演で試行錯誤を重ね、自分が納得するものを追い求める。そこに妥協はない。そんな彼女の演劇に対する熱い想いとは。

-そもそも、どうして演劇を始めようと思ったのですか?またジゲキに入部した理由を教えてください。


もともと演劇が好きな一家で、幼いころからよくミュージカルを観に連れて行ってもらっていました。その世界への憧れから演劇をやってみたいと思い、高校で演劇部に入ったんです。大学でも演劇を続けることにしたのは、高校の演劇部では規模が小さすぎてできなかったことが、人数の多いジゲキでならできるのではないかと感じたからです。他の劇団ではなくジゲキを選んだ決め手は、規模感もひとつにはありますが、何よりも派手な芝居をしていることに惹かれたことです。それまでの「演劇は根暗な人がちんまりしている」という私の演劇に対するイメージをくつがえすものでした(笑)。実際私も人見知りする方ですし、だからこそ自分にはないものを手に入れたいと思い、ジゲキに入部しました。

-今でもよく演劇の舞台を観に行かれるそうですね。舞台や日常生活の中から、自分の演技に生かそうとしていることはありますか?


観劇しているあいだ、「あ~、これいいな。」と感じる瞬間がたくさんあるのですが、帰りの電車の中でひとつひとつ思い出して、「あのシーンは、なぜ面白かったのだろう。なぜ良いと思ったのだろう。」とよく振り返ります。「この演技だからこんな風に感じたのか。」というように、論理的に仕組みを考えることが好きなんです。その学んだ仕組みを自分の演技に応用しようと思っています。
あと、日常生活では人間観察が好きでよくしていますね。日々の中で「この人はこういうとき、こんな顔をするのか。」と発見したときには覚えておいて、自分の中の引き出しを増やそうと心がけています。

-本田さんの演技の裏側にはそのような努力があるのですね。新歓公演『室温』での主役であるキオリの演技にも圧倒されました!キオリを演じる上で苦労した点を教えてください。


キオリ役は、私が今まで演じてきたどの役よりも自分とかけ離れていて、とても苦労しました。キオリは、何人もの男性と関係をもって、お金をせびったり、だましたりするじゃないですか。そんな経験したことがないし、感覚として理解することも難しい。本当にどうすればよいのか分からなくなり、映画を観て、そこからヒントを得ようとしたこともありました。その中でも一番苦労したのは、舞台上での男女関係のシーンですね。初めてそのようなシーンに挑んだので、「ああでもない、こうでもない。」と試行錯誤しました。最終的に納得がいったものを舞台で出したつもりですが、正直自分でもあれが本当に合っていたのかよく分からなくて苦しかったですね。

-確かに学生の演劇ではあまり見られないようなドキドキするシーンもありましたね。そんな苦労があったとは…!堂々とした演技だったので人見知りな性格を感じませんでしたが、やはり舞台上では緊張しますか?


今はあまり緊張しないです。充分お稽古をして、「これだ!」と思うものを舞台で出しているので、緊張よりもむしろお客さんに観てもらいたいという気持ちの方が強いですね。逆に、終演後の客出し(*客出し:感謝の気持ちを込めてお客さんをお見送りすること)で、至近距離でお客さんのリアルな反応を感じるときの方が緊張します。OB・OGさんがいらっしゃったときには、特に「ああ、どうしよう。」と思いますね(笑)。