NO.86
坂本 安弘
(生協)
「もっと活きた生協であるために。」

食堂、購買、書店…。大学生活の中で、当たり前にある存在。そんな当たり前を支えているのが、生協。その生協を「もっと使いやすくもっと楽しいものにしよう」と奮闘する、一人の男がいる。
Presented by Yumika Kamada, Minori Takeda
Photo by Wako Nagasaka
組合員の要望に応えてこその生協
― 以前KooBeeの動画に出演していただいた際に、アフロをかぶって踊るというすごく面白い演出をしていただいて、驚きました。生協に対して真面目なイメージがあったので。
実は、その『真面目なイメージ』が少し課題になっていて。そのイメージの影響なのか、生協に求職する方は公務員(大学職員と勘違いして)と併願が多いんですね。でも生協と公務員や民間企業って大きく異なる点があるんです。公務員や民間企業にはしっかりしたマニュアルや制度がありますが、それと違い、生協では組合員の皆さんの声を聞いて、何ができるのか、何ができないのか、を考えることが問われます。そこで、今まで以上に組合員である学生さんとの交流を図りたいと考えています。だからこうやって取り上げてもらえるのは、学生さんに生協を理解して興味を持ってもらうすごく良い機会だと思うんです。
僕達が一番恐れているのは、学生さんに無視されることです。僕達が「いろんな企画をします、フェアをします」って言っても、無視されることがあるので。学生さんが「ありがとう」「美味しかった」と言ってくれるともちろんすごく嬉しいですが、逆に「まずい」と言ってくれる方も僕達にとってはすごくありがたいですね。何も言わないで利用しなくなるというのが、僕達は一番悲しいです。悪口でもなんでもいいので、生協のことをなにか話題にあげてくれたら、生の声を聞いて考えて改善していけますし、よりよい生協へ成長していけると思います。
― なるほど。では、学生との交流を盛んにしていくための工夫もしていらっしゃるんですか?
そうですね。学生さんの要望に応えてこそ生協なので。例えば、生協への要望や意見などを書いてもらう一言カードというものがあります。どんな内容にせよ、一言カードをたくさん書いてもらえるということは、それだけ生協のファンがいるということだと僕は考えています。生協を本当に嫌いな人は、一言カードも書かないし利用もしなくなってしまう。でも、「こんなところが嫌だ」って書いてくれる人は、何か不満があっても生協を利用してくれているファンなのだから、感謝すべき存在なんですよね。一言カードを通して、学生さんの生の声が聞けたらいいなと思います。他にも、おもしろい取り組みでいえば、5年ほど前から始めたポッキーの日のディスプレイがあります。学生さんは、流行に乗って盛り上がることが好きですよね。ポッキーの日が話題になって、学生さんがポッキーを買い始めると、生協も他大の生協と比べ出すんです。阪大はどれだけ売れたのか?関学は?立命は?って。そうなってくると、「神大も負けられないね」って闘争心を燃やしちゃうんですよ(笑)そのうちにどこかの大学が派手なディスプレイをし始めると、うちもうちもって広まっていって。そうして神大の購買にもポッキーのアーチができてましたね(笑)
― 時代の流れに寄り添って、生協もいろんな工夫をしているということですね。
その通りです。今は食堂の売り上げが購買より順調なのですが、僕が生協に勤め始めた20年近く前から10年ほど前までは、食堂って施設や料理など全体的にすごく悪かったんですよ。エアコンはないし汚いし、料理の味はバラバラで鮮度も悪く、接客も「お兄ちゃん、これ食べとき」というような、今考えると想像もできない様子だったんです。でも今の学生さんは、幼い時から綺麗なコンビニやファーストフード店で丁寧な接客を受けてますよね。それに慣れている学生さんが増えてくると、昔の学食スタイルは通じなくなってきて、食堂はどんどん停滞していきました。何か変革が必要だということで、食堂は10年ほど前にやり方を大きく変えたんですよ。アメリカの大学にある食堂レストランを見習って、まずはサービスの心から、そして雰囲気も明るくして美味しいものを出すように、ということを徹底しました。そうしてどんどん変わっていって、今の食堂になったんです。
固定概念を取り払って柔軟な発想を。
― 現在の生協運営においては、なにか改革を行っておられますか?
はい、生協運営がより良いものとなるよう、少しずつ動き出しています。大きな企業は、自己の会社の目標や計画を決め、それを会社の外にいる顧客に対して発表していますよね。それと同じように、生協も組合員の皆さんに明確な行動指針を示そうと思いました。しかし、僕が見る限り、生協はまだその段階まで達していなかったので、まずは生協の中で働く職員の意識改革から始めようと考えたんです。そこで、全職員に向けて、生協を運営するにあたっての目標をいくつか提示しました。例えば、活動が円滑になるように、コミュニケーションを意識し、スタッフ間の意見交換や情報交換を積極的に行うことです。パートの方が多いので、働く時間やキャンパスが違うと、意思疎通できないのが現状です。みんながバラバラであるこの現状を打破して、コミュニケーションネットワークを強めていきたいですね。また、職員同士だけでなく、組合員の皆さん、大学、漁業連盟さんなどの地域社会の組織全てと職員がコミュニケーションを取っていくことも意識しています。さらに、キャンパスごとに少しずつ異なる特性や要望を把握し、組合員の皆さんの要望に応えることができるように努めていくことも目標の一つです。このように、目標を決めることで職員の意識統一を行い、組合員の皆さんがより楽しいと感じられる生協を職員全員で作っていきたいです。
― 「生協を変えたい、盛り上げたい」という坂本さんの気持ちを強く感じます。なにか強い意志を持って生協に入られたんですか?
いえ(笑)まず、生協に入った経緯からお話しますね。実は僕、もともとは金融機関で働いていたんですよ。大学の頃、特に就職に関する夢もなくて困っていた時に、証券会社はボーナスや有給が多いと友達から聞き、証券会社に就職したんです。でも就職して少し経った時、湾岸戦争が勃発して、バブルが崩壊してしまいました。どうしようと思い悩んでいると、またその友達が、神戸大学生協が職員を募集しているという情報を教えてくれました。生協職員なんて公務員と同じだろうという軽い気持ちで試験を受けたところ、総務部の職員として採用していただけました。でも入って3か月後くらいに辞めることを決意したんです。生協職員には公務員みたいにマニュアルがあるわけでもないので、自分から動かないと仕事はそんなにないし、なにより民間の会社と生協があまりにも違いすぎたんです。そうして総務部長に辞表を出したら、「まだ働き始めたばかりなのに何がわかるんだ」ってすごく怒られました。そこでなんとか辞めることを踏みとどまりました。その後、結婚したり子供が生まれたりとバタバタして、辞めるということを考える間もなく働いてきた結果、気が付けばずっとここで20年です(笑)そうして働くうちに、様々な人と関わったり、自由に企画できたりする生協での仕事を楽しいと感じるようになっていきました。と同時に、もっと組合員の皆さんに楽しんでもらえる生協に変えていきたいという気持ちが強くなっていましたね。
― 20年近く勤務される中で、様々なところにアンテナをはって生協運営を行ってこられたようですね。
そうですね。熱が出て寝込んでいる時にたまたま聞いていたラジオの内容からヒントを得て、企画を思いついたこともあります。組合員の皆さんが楽しんでくれそうなことを日々考えて、企画に繋げていけるのは、僕にとってもすごく楽しいですね。普通の企業ではできないような企画も、生協だと柔軟に行うことができるんです。やはり学生さんと付き合っていると、気持ちが若くなって固定概念がなくなるんですね。年を取るにつれ、一般常識にとらわれすぎて、行動を起こす前から「これは無理」と思って、ブレーキがかかってしまうことが増えてしまいます。でもそれでは良い発想ができないですよね。だから、あまり考えすぎずに、柔軟に発想することを心がけています。
― では、最後に神大生にひとことお願いします。
若さがある今のうちに何でもいいから考えて企画して、行動に移していってほしいですね。時には、慎重になりすぎず、勇気を出して挑戦してみてください!
― 編集後記
神戸大学生協専務理事ということで少し緊張して取材に臨んだのですが、坂本さんは非常に明るく気さくな方で、取材の後には個人的な悩みも聞いてくださいました。坂本さんはじめ生協の方々が企画する楽しいフェアが日々行われているので、今後も購買や食堂を積極的に利用していきたいと思います!!
89. 矢野隆之, 徳永滋之
アウトスタンズ代表・副代表
59. 黄勇太
人生をかけて研究に捧ぐ
85. 近藤 友祐, 阿部 智明
学生団体POMB
39. 宮村 優哉
圧倒的なフォロワー数を誇るカメラマン
62. 岩渕想太
現役神大生バンド“パノラマパナマタウン”Vo&Gt