No.101

自分らしい、面白い将棋を。

古森悠太

(経済学部4回生/プロ棋士四段)

Presented by Ayano Yasuda, Naho Takamochi

Photo by Misaki Yamada


空前の将棋ブームの今、神大に新たなプロ棋士が誕生した。現役神大生でありながらプロの棋士。将棋界でも珍しい肩書きを持つ彼のこれまでの道のり、そしてプロ棋士として新たな道に進もうとする古森棋士の将棋に対する想いとは。

PROFILE

古森悠太

将棋とともに歩んだ道

-将棋を始めたきっかけは何ですか?


小学2年生くらいの時に祖父に教えてもらったのがきっかけです。僕の家はゲーム禁止で、遊ぶものが他になかったので家でずっと将棋を指していたんです。そうしたら知らない間に強くなって祖父にも勝てるようになり、1年後には将棋を習うために関西将棋会館に通うようになりました。どうして将棋にハマったのかは自分でもはっきりとは分からないんですけど、単純にどれだけやっても答えがなくて面白いところが魅力ですかね。それに、将棋を指しているときはなんとなく気持ちが落ち着くというか、安心できるんです。

-一日どれくらい将棋の勉強をされているんですか?


中学1年生でプロの養成機関に入ってからはほぼ毎日4~5時間、最低でも3時間はやっていました。将棋の勉強では、最近主流になっている型や自分が考えた型を試して相手の対応を見ます。自分がやりたいことばかりを一人で勉強するのではなく、実際に他の人と対局して、一進一退の場面で打ち勝てるような「ねじりあい」とよばれる力をつける勉強もします。本を使った勉強だけでは得られないものがあるので、対局を通してあらゆる型に対応できる力や相手の手を予測する力をつけることが大切ですね。

-将棋を辞めたくなったことはありますか?


もちろんあります。プロの養成機関に入ってから中学生の間はうまくいっていたんですけど、高校に入ってからは将棋の成績が伸び悩んだんです。それから将棋が嫌になって、練習をサボることも度々ありました。その頃にちょうど大学受験が近づいてきたので、受験勉強を言い訳にして将棋から逃げたりもしていました。それでも将棋を辞めなかったのは、小さい頃からずっとプロの棋士になることを目指してやってきたので、どうしても諦めきれなかったからですね。

-やはりプロになるのは大変なのですか?


普通はプロになるためにまずプロの養成機関に入るんです。そこに入るだけでも様々な試験があって、都道県代表レベルの人たちが年間で20人受けてやっと10人通るぐらい大変です。その10人の中でもプロになれるのは1人くらいですね。しかも、大学に通いながらプロ棋士になった人は京大・阪大・神大でだいたい一人ずつで、かなり珍しいケースなんです。普通は、大学に行かずに将棋一本でプロを目指す人が多いのですが、僕はやっぱり将棋の世界だけだと閉鎖的だと思ったので、大学で様々な人と関わったり社会勉強をしたりするために進学を選びました。

-プロまでの道のりは遠かったですか?


四段からがプロなのですが、大学1回生の冬まではずっと初段でした。養成機関にいた9年間のうち、一級と初段に5年半もいたんです。実は20歳で初段って結構遅くて、普通はプロに上がる一歩手前の三段でつまずく人が多いんです。三段にもなると、自分の評価だけではなくてリーグ戦などの相対的な評価になってくるから大変なんですよね。だから三段までは速いペースで昇級していかないとプロになるのは厳しいと言われていて、正直僕自身ももうプロになるのは厳しいかなって最近まで思っていました(笑)。高校生の時に将棋の成績が伸び悩んでからは、将棋に対するやる気を失ってしまっていたんですが、大学で偶然知り合いがいたので将棋部に入り、楽しそうに将棋を指す部員たちを見て将棋の楽しさを思い出すことが出来たんです。その気持ちの変化は僕にとってすごく大きくて、そこからは自分でもびっくりするくらい実力が伸びましたね。また、今でもプロの方々とばかり対局していると、将棋が楽しくなくなったり、落ち込んでしまったりするときがあるので、将棋の楽しさを思い出させてくれる部活の存在は大きいです。部活は週に2回、10人程度が集まって将棋を指したり、将棋の話をしたり、ゆるーい感じでやっているのでうまく両立できています。


ことね

(KooBeeクリエイティブ部リーダー)

人と人を繋ぐモノづくり


なのこ

(KooBeePR部リーダー)

「楽しい」を継続する努力


松村健司 井部良太

(山岳部)

ただ、登りたいから登っている


加納 久慶(かのう ひさよし)

(海事科学部2回生)

”何が起こるか分からない” は ”何でも起こせる”ってこと


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