NO.1
藤嶽 暢英
(農学部教授)
「嗜好性のないアンテナを360度に伸ばしてみるといい」

人は、ただ”できる”人には集まらない。大切なのは、相手が求めるものを持っていること。「自分にしかできないもの」を探すために、今私たちが持つべき感覚とは―?
Presented by Kaori Fujiyama
Photo by Kaori Fujiyama
思い立ったら即行動
― ご自身が農学部を選んだ理由は?
浪人時代に、メキシコを1か月間放浪したことがありました。それで、僕がタコス屋で働いているときに出会ったおじさんが「俺のとこに来ないか。」と言ってくれて、ついて行った先が、実験農場だったんですね。今から考えると30年以上前にしてはずいぶんエコシステムな農業をやっていましたね。居候しているうちに、食料問題も大事だと思い、帰国してから農学部志望になりました。
― 学生時代について教えてください。
若くして海外を見すぎて、変に自信を持ってしまったんでしょう、あまり学校には行ってなかったですね…(苦笑) というのも、自分の基地を作ろうと思い、大学まで車で3時間半かかる京都の山奥に、茅葺き屋根の小屋を借りて生活していたので。五右衛門風呂を作ったり、わさびを栽培したりしていましたね。アメリカのシアトルからアラスカまで車で往復して12000㎞走らせたこともありました。アラスカの氷河の氷でオン・ザ・ロックしたら美味いという話を聞き、男のロマンを追求しなければ!と思ったことがきっかけでした。そのころから、どんなことでも思い付いたら即行動するというのが自分の中のルールでした。 ※オン・ザ・ロックとはアルコール度数の高いお酒の飲み方で、お酒を氷で割ること。
― どうして研究の道に進もうと思ったのですか?
もともとは就職するつもりでしたが、研究室に配属され、いざ研究を始めてみると、知らないこと、わからないことだらけ。社会に出るなら、もっと知識を身に付けてからでないと自分と他人との違いはないな、と思い大学院へ進学しました。そして修士課程2年生のときに、『Nature』という科学ジャーナルの小さな記事に、自分のすべき研究テーマを見つけてしまったんです。これをやるのは自分しかいない、自分がこのテーマで次の発見をしてやろうと思い、研究の道に進みました。
流暢な英語より、相手が求めるものを持っているのが大事
― 現在、どのような研究をされていますか?
地球上の炭素の循環について研究しています。炭素は土壌中に貯蔵されます。しかし、それが どのようなプロセスによるものかは現在、解明されていません。土壌中で何が起こっているかを 合理的に説明する、それが私の仕事です。具体的には、様々な森や土地の土や水を採取し、 それらに含まれる有機物の分析をしています。今は、温暖化の影響が出ているフィンランドなど の北欧の国をメインに研究しています。森林などの土壌以外の分野の先生方と一緒に、一つの フィールドを調査することで、多角的に現象を解明しようとしています。
― 最後に、学生へメッセージをお願いします。
近頃、英語が大事だと言われていますが、私はそうは思いません。もちろん話せるに越したことはないけれど、英語が話せても、話の中身が面白くなければ聞いてもらえないでしょう?私はいろんな国の人と仕事をする機会がありますが、決して英語を流暢に話せるわけじゃありません。けれど、仕事はできる。それは相手が求めるものを私が持っているからです。だから相手も真剣に話を聞いてくれる。英語を話せることよりも、相手の聞きたいもの、知りたいものを持っていることの方が大事なんです。    若い人は、そういう自分にしかできないものを探すという姿勢で、あちこちにアンテナを伸ばしてみたらいい。ただ、これは嗜好性のないアンテナの方がいい。今、自分が面白いと思っているものも、明日には変わっているかもしれない。選り好みしないで、何でも知ってやろうといろんな情報を得る。一見関係のなさそうな、あれとこれを使って何かできないかと常に考えてみる。すると、面白いものが生まれてくるものです。これは研究の世界もそうですね。 人間だから、まわりを見て安心したり、不安になったりすることもあると思いますが、自分の目に見えているまわりはとても小さな世界。それを理解して、世界という大きなものの中にいる自分という感覚を持つと、自分づくりにもっと能動的に動けるようになると思います。
51. 河上 隼己
ESSディスカッション全国大会2位
15. 長ヶ原 誠
発達科学部准教授
69. 永岡 誠
工学部3回生
40. 井上 大樹
新歓祭実行委員長
62. 岩渕想太
現役神大生バンド“パノラマパナマタウン”Vo&Gt